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第2話 うさちゅー -2-
「―……ギン、今回は黒ウサギか」
「うん、さつき!」
玄関でそう答えるギンから黒いウサ耳パーカを受け取り、早速素肌の上から羽織る。
このパーカ……ギンにはぶかぶかだが、俺にはピチピチだ。
そして玄関から、居間の隅に連れて行かれた。
今回の巣はここ、なんだな、ギン。
「おー。今回も立派に出来てんな」
「へへーっ!!」
ザッと見て"巣"にあったのは、毛布、シーツ、衣類多数……下着と靴下が目立つな。
あとは使用済みタオル類、大きな丸型クッション、枕、座布団、……えーと?
よく読む雑誌類にアイピロー……全部俺の私物だ。
そして俺はギンを褒め、頭を撫でくる。
ギンは俺の撫でに抵抗せず、くりくりと頭を揺らしながら得意気だ。
―……"オメガの巣作り"
巣作りも発情するところも、"ウサギ"と一緒だ。
それに俺の番の"ギン"は"銀兎"って名前だし。
ウサ耳パーカを好んで、何着も色違いで持っているし、こうして俺に着せる。
まぁ、その、何だ? うん、ウサギまみれだ。
そして俺はギンにそのまま手を引かれ、彼が俺の私物で作った"巣"に招き入れられた。
巣に入った途端、手を離して対面で俺に少し体重をかける様に爪先立ちをして、
「さつき、お帰りのちゅー」
"ぷちゅ"と唇に軽く触れるキスをして、満足気に笑うギン。ヤバイ。ギン、ヤバイ。
しかも玄関じゃなくて、巣に入った時にやるのがギンのマイルールの様だ。
俺はそんなギンを抱き上げ、その唇に齧り付いた。
角度を変え、口内にも舌を侵入させ絡め、彼の唾液を奪うように飲んだ。
すると、行為の合間にギンが言葉を挟んできた。
「ん、ふ、ふぅうン……サツキ……大好き……」
ああ。俺はどうしようもない うさぎ ちゅうどく だ。
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