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*** 「……」  目が冴えている。  グラエムは酒を飲むと眠れなくなる体質であった。つい先ほどラズワードと騒いでいたのもあるのだろう。  全然眠れない。 「……まいったなあ……」  明日は早い。早く眠りにつかないと、明日が大変だ。  そう思ったが、体はいうことを聞かない。    もはやこのまま起きていようか。朝になったらラズワードに体力を回復してもらえばいい。  そう思って、グラエムはチラリとラズワードの様子を見る。 「……もう寝たかー?」  呼びかけても反応はない。静かな寝息も聞こえてくる。たぶん、寝ている。  少し、寝顔を覗いてやりたい、そう思ってグラエムは布団をめくった。バガボンド時代もずっとラズワードは隙がないというか、気の抜けたような顔をあまりみれなかった。今がチャンスだとばかりに、グラエムはニヤニヤと笑いながらラズワードの顔を覗き込む。 「……なんだよ」  その、ラズワードの顔を見て、グラエムはふ、と微笑んだ。 「……可愛い寝顔してやんの。……やっぱまだおまえお子さまじゃねえか」  もう一度布団をかけてやって。その上からラズワードをなでてやる。 「……おやすみ」  そして、無駄だとわかりながらも、目を閉じた。

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