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*** 「おーい……ラズワードぉ……」 「……」  一向に自分の方を向いてくれないラズワードにエリスが間延びした声をかける。ラズワードはせっかくのダブルベッドの意味がなくなってしまうくらいにエリスから離れ、背を向けて横になっていた。行為が終わった瞬間にシャワーを浴びてしっかり服を着てこの調子なのだから、ものすごい拒否っぷりである。 「なんだよ、さっきはノリノリだったくせに」 「……自分への嫌悪で死にそうです」 「はあ? なんだって?」  ラズワードはチラリとエリスのほうを見た。機嫌が悪そうに眉をひそめ、灯りの消えた暗い部屋のなかその青い瞳がぎらりと光ったのだから、思わずエリスはびくりと身を引く。 「……自分の、節操のなさが嫌になります」 「んなこと言ったって俺が迫ればさっきみたいにまたアンアン言ってくれるんだろ」 「……はぁ……」 「……な、」  きっちり否定の言葉を言ってくることを期待したエリスは予想外のラズワードの反応に怖気付く。何かに呆れたようにため息を吐き、ゆっくりと体を起こしエリスを見下ろす。やたら顔立ちが整っているものだから、こうして冷たい顔で見下ろされるととんでもなく怖い。  エリスが固まっているのも気にせず、ラズワードはのそ、とエリスに近づいていく。そのままエリスの腹に跨り、顔のすぐ横に手をついてその青い瞳でエリスを捕らえた。 「ちょ、ちょ……ラズワード……」 「エリス様……」 「ま、まって! 勃つから……そこ跨がれると勃つ! 明日早いからちょっと……」 「エリス様は、俺のどこが好きですか?」 「へ……?」  ラズワードは目をすうっと細める。垂れた髪をゆっくりと耳にかけ、はあ、と唇から吐息を漏らす。 「あ、……」  あまりにも煽情的な彼の仕草に、エリスはどもってしまった。かあっと顔が熱くなってくるのがわかる。視界にモヤがかかったようにラズワードのことを直視できない。窓から差し込む朧げな月明かりに照らされた白い肌が、なぜだか艶かしく光って見える。 「……身体ですか」 「……ッ」 「この……」  そっと手をとられ、エリスは息を飲んだ。ラズワードは自らそのエリスの手で自分の身体を撫でさせる。滑やかなその肌の感触は先ほどの行為を鮮明に思い出させ、エリスは生理現象を止めることはできなかった。局部が充血しているのを感じながらも、その光景に目が離せない。自分の手が、ゆっくりとラズワードの服をたくしあげてゆく。ゆっくり、ゆっくりと白い肌は顕になっていき、月明かりでできた陰影がひどくいやらしい。 「ん……」 「――……っ」  指先がつん、と乳首に触れるとラズワードは小さく声を漏らした。微かに眉間にシワを寄せ、目元を歪ませる。ほんの少しだけよじられたそのしなやかな身体にエリスのソレは昂ぶっていく。 「淫らな……身体ですか」 「……!」 「俺の身体は……誰にでもこうして、卑しく反応して……」 「ま、待っ……」 「あ、あぁ……」  エリスの手に自分の手を重ね、ラズワードは自分の胸元をさする。エリスに見せつけるように、まるで自慰をしているように。手のひらに感じる固くなった乳首の感触にエリスは顔から火がでそうになった。 「こんなに淫らで……、あ、」 「ら、ラズ……」 「んん、ぁ……それでも俺は……ハル様のこと、好き、……ぁ、ん……で……」 「……っ」 「本当に、俺は……あ、あ、……あの方の、傍にいても……いいんです、か……」  つう、とその瞳から涙が一筋こぼれた。 「きっと……俺は……これからも、誰にでも身体を許すんです……。淫猥で……! 醜悪で……! わかっているけど、あ、あぁ……っ! それが、俺だけど……! 俺の存在だけど……!!」  ひく、と嗚咽を上げながら、その声の中に嬌声が混じる。ひどく倒錯的で、痛々しくて、しかしそれが正直興奮した。エリスのモノはもう完全にそそり立っていた。 「俺は……ハル様を、お守りしたい……! 傍にいたい……! エリス様……、」  堪らずエリスは指を動かしラズワードの乳首をきゅうっと摘んだ。はあっと熱い吐息を吐き仰け反ったラズワードは歯を食いしばって、重ねた手でエリスの指に力を加えていく。自ら刺激を強め、自分を責め立てていく。

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