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「こんにちは、ラズワードさん」
昼も近くなってきたころ、ミオソティスがラズワードの部屋に、食事を運んできた。結局、ラズワードは今日一日休みをとることになってしまったのだ。
「今日は一日、私がラズワードさんのお世話をさせていただきますね」
「い、一日……!? なんか……ごめん」
「いえ、私もラズワードさんのお側にいたいので」
「え?」
ミオソティスがポットに入った紅茶をカップに注ぐ。伏し目がちの瞳を飾る睫毛は、長く、影をつくっている。ラズワードはまじまじと彼女をみつめながら、発言の意味を思案した。「側にいたい」と……それは、どういうことだろう。自惚れたくはないが、まるで恋心を秘めた人の言葉のように思えてしまう。今までの彼女の言動から考えればおかしなことではないし……と悶々としていれば、ミオソティスがぱっと顔をあげた。
「すごく、心がざわつくんです」
「……ざわつく?」
「夢の中に、金色の龍があらわれました。立派な、美しい龍です。強い風と共にそれは現れて……寄り添ってきました」
「金色の、龍」
「現実の世界でも、風が服と金の龍のイメージが頭のなかに浮かんでくるんです。いつもは特に気にしていなかったんですけど……夢にでてきたのは初めてで、なんだか不安になって……」
「……それで、誰かの側にいたかった……ってこと?」
「……はい」
あ、なるほど……。ラズワードは肩の力が抜けるような感覚にため息をついた。ミオソティスの抱える悩みは正直まったく理解できないが、自分の側にいることで少しでも恐怖が和らぐのなら、それでいいと思った。
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