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服を着て、二人は寄り添ってしばらく海を眺めていた。ほとんど会話はない。手を重ねて、ときどきキスをして。そんな風に、静かな時を過ごしていた。
漣の音が、胸に染みてゆく。
自分の心の在処がわからない。俺は何がしたい、俺の存在って何。答えを求めようとしてぐるぐると考えていれば、漣の音に思考を阻まれる。
「ノワール様……」
「ん……?」
「海……綺麗ですね」
ノワールの瞳を覗きこむ。真っ黒な……真っ黒な瞳。闇の色。
闇を……俺は壊すことができるだろうか。この人が望んだように。
キスをする。瞼をあける。瞼を閉じる。キスをする。それを、繰り返した。答えを求めるように、何度も何度も。
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