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「あっ……ふ、ぁあ……」
その間にも、後孔への刺激は止めない。柔らかくほぐれ始めたそこを指で掻き回す。わざと音をたてるようにして前立腺をぐりぐりといじってやると、ラズワードの脚がびくびくと震えた。
「んーっ……ん、っ……」
勝手にゆれてしまう腰。縋りつくところを求めて腕はノワールの背にまわされる。ラズワードはぎゅっとノワールにしがみつきながら、必死に与えられる快楽に耐えた。
やがてノワールは唇を離して、蕩けたラズワードの表情を至近距離で見つめだす。キスが止んでしまった寂しさにラズワードも目を開けたが、間近で見るノワールの黒い瞳の引力に囚われそうになって、すぐに目をとじる。
「うっ、……あ、ぁあっ……あ、」
「ラズワード……目をあけて」
「や……です、いやです……やだ……」
「あけて。俺、寂しいよ。ちゃんと俺のことみて」
「……っ」
誘導されるようにして瞼をあければ、視線がぶつかった。その瞬間、ぞくぞくと強烈な快楽が身体を突き抜ける。
「あっ……あっ……」
びくんびくんとラズワードの身体が跳ねる。それでもノワールは指を止めなかった。ぐいぐいと指を押し込むようにして、ラズワードのいいところを刺激する。
「ふ、ぁ……だめ、だめだめだめ……あっ、イク、だめ、のわーるさま、イッちゃう、イッちゃう、イク、イク、あっ」
「イッていいよ。ちゃんとラズワードがイクところ見ていてあげるから」
「やっ、あ、あ、あ、あ、くる、くる、イッちゃう、だめだめ、あ……」
吐息が交じり合う。ぐずぐずに泣きながら達するラズワードを、ノワールは微笑みながら、黙って見つめていた。冷たい瞳に見下されながらイクと、断続的に絶頂が訪れてきて、身体の震えが止まらない。もう刺激をやめてと目で訴えても、ノワールはそれを無視して指を動かし続ける。せめて、と視線をそらしたくて首を動かそうとすれば、後頭部を掴まれてそれは叶わない。
「あっ、あっ、あー……、あ、あー……あ、あ、あ、」
がくがくと身体を震わせるラズワードから、ノワールが指を引き抜いた。そして、ぐ、と強く太ももを掴む。
「あ、あ……」
熱が、秘部にあてがわられる。もうそれだけで、ラズワードのそこはノワールのものに吸い付いて、はやく挿れて欲しいとせがみだす。いりぐちがきゅうきゅうと動いているのを感じ取って、ノワールは薄く笑った。
「ほら、せがんでみて。挿れて、って言って」
「は、……あ、……いれ、てください……」
「もっと、いやらしく」
「あ、……いれて、……お願いいれて、のわーるさま……! おれのなか、ぐちゃぐちゃにかきまわして、おかしくして……!」
ノワールの目が細められる。「いいこ」そう言って彼が微笑むと、視界がくらりとまわった。どくん、と心臓が高鳴る。はやく、はやく。この人にめちゃくちゃにされたい。ラズワードのなかで熱が暴走してゆく。頭がおかしくなる。
「あ、あ、あ、」
ノワールがなかにはいってくると、ラズワードは顔を蕩けさせて甘い声をあげる。じりじりと熱が迫ってきて、そして一気に奥を突き上げられた。ズクン、と重い熱がなかで弾けて、そこからじわっと甘美な波が広がってゆく。
「あぁっ……」
すごい。すごいすごい。抽挿がはじまると、ラズワードは一層甲高い声をあげて身体を震わせた。奥を突かれるたびに、いいところを擦り上げられるたびに、びくんっと大きく身体が跳ねておかしくなりそうになる。まるで身体が自分のものではないようで。快楽に支配された身体はもう、いうことをきいてくれない。
「あぁっ、はぁっ、ん、んぁっ、あっ」
ラズワードはうっとりと顔を赤らめながら喘いだ。きもちいい、きもちいい、すごい、すごい、飛んじゃう。ぞく、ぞく、とノワールの動きに合わせて迫り来る快感にラズワードはすっかり虜になっていた。
「ほら、もっと深いの……しようか」
「あっ、はぁっ……ん」
ぐ、と身体を引き寄せられて、ラズワードはノワールの上に乗る。所謂、対面座位。急にずぷっ、と奥に入り込んできた熱に、ラズワードは弓なりになって声をあげる。自分の体重でどんどんノワールのものが奥にはいりこむ。ぎゅう、と渦に引き込まれるような快楽に、ぞくぞくと身体が震えた。
「あ、あ……」
「思いっきり……突いてあげる」
「あっ……! はぁっ、ああぁっ……! ふかい、ふかい、……すごい、おく、くる……! あぁ、ん、……ふ、ぁっ、はぁん……」
がく、と身体が揺さぶられた。ノワールが奥を突き上げてくる。ズンズンと凄まじい熱が下から這い上がってきて、ラズワードはたまらず首を振った。おかしくなる、やばい。思わずノワールにぎゅっと抱きつけば、彼の首筋から彼の匂いを感じ取ってしまって、ぎゅうっと胸が締め付けられる。そうするとなかがきゅんっと締まって、びくっと腰が震えてしまう。
「ぁんっ、だめ、あぁっ、すごいっ、だめ、だめぇ……あぁ、いい、すごい、いい、……」
「ラズワードも、腰振って」
「むり、こし、くだけて、だめぇ……」
「仕方ないな、じゃあ俺が思い切り奥を突き上げてあげるよ」
「ふぁっ……! あぁ、ああっ、あっ、いくっ、いくっ、あ、あ、あ、いっちゃう、だめ、あっ、いく、いくいくっ、あっ」
ズンッ、ズンッ、強烈な重い快楽。ノワールの背に爪を立てて必死にしがみついて、意識が飛びそうになるのを我慢する。頭のなかに白い火花がぱちぱちと飛び散って、狂ってしまいそうになる。
がしりと頭を掴まれて、唇を重ねられた。乱暴でどこか優しいキスに、酔ってしまいそうになる。犯されて好きにされてしまっている感じがたまらない。それなのにキスが甘くて、もう壊れてしまいそうになる。
「んっ、ふ、んんっ、」
涙と唾液でぐちゃぐちゃになりながら、ラズワードはノワールとのキスに夢中になっていた。
もう、だめ。がくがくと身体を揺さぶられながら、ラズワードは全身でノワールに抱きつく。身体がノワールに密着して、暖かくて気持ちいい。少し細い彼の体も、こうしてしがみつけば筋肉があるということを感じ取れて、ほっとする。
ぎゅう、っとラズワードの中が収縮し始めると、ノワールは唇を離してしまった。とろんと寂しそうな目でラズワードが彼をみつめれば、その顔にふ、とほほ笑み浮かべる。
「……イきそうだね、ラズワード」
「……ぁっ、……はい、いくっ、……いき、ます……はぁっ、ん……」
「イクとき俺の名前呼びながら言ってよ……ラズワード」
「……っ、」
ドス、と強く奥を突き上げられる。ラズワードは目を見開いて、大きな嬌声をあげた。それを皮切りに、ノワールは一気に強くラズワードの身体を揺さぶり始める。
「あぁっ、はぁっ、ん、あっ、あっ、あっ、あんっ、ふぁっ、あぁっ」
「名前、呼べ」
「あっ、のわ、るさま……あぁっん、のわーるさま、んっ、はぁっ、のわーるさま!」
ズンズンと思い切り突かれ、ラズワードは身体を捩り、髪を振り乱し、涙を流しながら甘い声をあげる。ノワールの名前を呼びながら感じていると、もう自分が彼のものになってしまったような錯覚を覚えて、わけがわからなくなる。
「のわーるさまっ、のわーるさまっ、ああぁっ、のわーるさま……!」
びくびくっ、と身体の芯が震えだす。きゅうーっと下腹部が何かに引きずり込まれるような感覚を覚えて、ラズワードは硬直する。強い締め付けにノワールは目を眇めながらも、ラズワードの絶頂の兆しに唇の端をつりあげた。
「あぁっ……! のわーるさまぁ……!」
ぴゅ、ぴゅ、とラズワードのペニスから白濁が溢れだす。がたがたと震え、ノワールの名を呼びながらラズワードは達してしまった。ノワールはそんなラズワードをみて微笑むと、精液を出しながらイキ続けるラズワードに、優しくキスをする。
「んんっ……」
甘いキスに、ラズワードは顔を蕩けさせた。イキながらノワールとキスをして、もうおかしくなってしまいそうだった。ぎゅっとノワールに強く抱きついて、ラズワードはキスを請うように自ら唇を擦り付ける。
「はぁ……ん、ん……ぁ、ん……」
自ら腰を上下にゆるゆると動かしながら、ラズワードはノワールに縋り付いた。絶頂の余韻にうっとりとしながら、キスを堪能する。ちゅ、ちゅ、と小鳥のようなキスから深く舌を絡め合うキス。求めるままに、二人はキスに溺れてゆく。
「んっ……」
ぴくん、とラズワードが震える。なかで、ノワールが精を吐き出したのを感じたからだ。なかで震えるノワールの熱に、ラズワードはぴくんぴくんと小さく身体を痙攣させて、よがりだす。
「あぁ……のわーるさま……ぁん……のわーるさま、のわーるさま……」
目を閉じて、なかに出されてゆくのを感じ取る。どく、どく、と震えるそれを自分の鼓動のようだと思う。一体になっているような心地。一緒にぴくっぴくっと震える身体。身体も心も満たされてゆく。
「のわーるさま……んん……」
もう一度、ぎゅっと抱きついた。全て出されても、まだひとつになっていたかった。きつく抱きしめ返されると、もうずっとこのままでいたいと思ってしまった。
「……ラズワード、気持よかった?」
「きもちよかった……すごく、きもちよかったです……すごく、かんじちゃって……おかしくなりそうだった……」
「……じゃあしばらく俺のこと、忘れられないね」
ふ、とノワールが笑う声にまじって、漣の音が聞こえる。ノワールの首筋から香る彼の香りと一緒に、潮の匂い。
……ああ、きっとこの海とノワールの熱を忘れられないで、しばらく魂の抜けたような日々を過ごすことになるのだろう。
「ノワールさま……」
……俺の本懐は……どこにあるんだろう。
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