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「……ん、」
「……、」
「あ……、ん……ッ、」
ゾクゾクと身体の芯が震える。下腹部から熱が這い上がってくる。頭がぼんやりとしてきて、何も考えられない。また、キスだけでおかしくなる。ノワールとは、キスをしただけでイキそうになる。まるでこの人のためにつくられた身体なのだと、そう言われているように。ノワールに触れられると、異常なくらいに感じてしまうのだ。
「う……」
「何度抱いたら、俺のことしか考えられなくなる? どれくらい激しいセックスなら、何もかもを忘れられるくらいおかしくなれる?」
「……んっ、……く、ぅ……」
ぐ、と脚の間を膝で刺激され、ズク、と熱が下から脳天を突き抜けた。ぐりぐりと乱暴なくらいにそこを刺激されて、がくがくと身体が震える。
「あっ、……あぁっ……、あ、あ、」
堕とされる。壊される。こうやっていつか自分は……ノワールのもとへ、ひきずられてゆくのだろうか。
「あ、あ……あぁッ……!」
虚ろに宙を見上げながら、ラズワードは甘い声をあげる。乱暴にされて、たまらないくらいに気持ちいい。薄く笑うノワールの表情に、くらくらする。
ノワールの舌が身体を這う。冷たい顔つきなのに、目だけが熱っぽい。氷のような熱さを感じさせる彼の愛撫に、身体は燃え上がるように熱くなってゆく。淡白なようでいて、強烈な情欲がこもっているその触れ方に、ラズワードは溺れてゆくことしかできない。
「あっ……あ……」
自分の身体を舐めるノワールを、ラズワードはちらりと見下ろした。そのとき、ばちり、と目があってしまう。上目遣いにこちらをみつめていた、彼と。前髪の隙間からのぞく、小さな闇。ぞわぞわ、と身体が震えた。目があっただけで下腹部がきゅんと収縮して、びく、と腰が跳ねる。
「ふ、ぅ……ノワール、さま……」
「……力抜いて……身体こわばっている」
「は、い……あ、あぁあ……」
おかしくなりそうで、いつの間にか身体に力がこもっていたらしい。ぎゅっと握りしめていた拳を、ノワールが優しく撫でる。促されて、力を抜いてみれば……ぞぞぞ、と甘美な波が這い上がってきた。ラズワードはぶるぶると身体を震わせて、儚い声をあげる。
下衣を脱がされて、ふとももを掴まれた。ノワールが、ふとももに唇を這わせる。挑発的に目を見つめられて、ラズワードはまた、イキそうになった。
「あっ、あ……ん……」
ちくりと痛みが走る。噛み付かれ、静かに肌に歯がうもれてゆく。唇を離したときにそこに、くっきりと赤い痕がついていて、ノワールがそれをみて目を細めたのをみて、どきんと心臓が跳ねた。
「いいよね、ここに残る痕っていうのは……セックスをした証だ」
「……っ、」
「すっごく……そそられる」
ふ、と笑ったノワールの表情は、相変わらず冷たい。自分のもとへ引きずり込んでやりたい、そんな彼のどろどろとした劣情が、心地良いと思ってしまう。
「ノワールさま……や、ぁっ……ん」
ノワールの指先が、ラズワードの起立したものの先に触れる。細い指で、濡れた鈴口を擦られれば、くちゅくちゅといやらしい音が響いた。とろとろと愛液のように溢れ出るそれが、ペニスを伝い落ちる。
「あっ、あっ……んんっ……」
「腰、揺れてる」
「だって……ぁ、やぁっ……ゆれちゃ、う……」
かくかくと、腰が揺れる。ノワールが意地悪く微笑んで、その様子をみていた。みっともなく脚を広げて、腰を揺らす。みられている。いやらしい自分を……みられている。
「あっ、イっちゃいます……やぁっ、ノワールさまっ……でるっ、でちゃう、やだ、やだぁ……」
「勝手にいくなよ」
「ふ、ぁッ……!? やだっ、離して……」
ぎゅ、と突然根元を掴まれて、ラズワードは達することができなかった。カウパー液だけがたらたらと流れるだけ。イきたいのにイけない。がくがくと震えながら懇願するラズワードを、ノワールは冷たく見下ろしていた。
「一人で、イクなよ」
「あっ……ノワールさまぁ……」
溢れでた液体を指に絡めとり、ノワールはラズワードの秘部を撫で付ける。入り口をくりくりと触られて、なかのほうがきゅうきゅうと収縮した。
「んん……う、ぅ……」
ずぶ、といきなり二本の指がいれられる。ぎゅうっと指を締め付けているのが、自分でもわかる。ぞく、ぞく、と這い上がってくる甘い波に、ラズワードはのけぞって、あられもない声をあげることしかできなかった。
「あっ、……ふ、ぁあッ……」
体が蕩けてしまいそう。内側からあふれだすような快楽に悶えるラズワードを、ノワールが見下ろした。ふ、と微笑むとそのまま唇を重ねる。
「ん、んっ……」
ラズワードの頭を撫でながら、ノワールは甘いキスをした。ゆっくりと、熱を交えるようなキス。快楽のあまりぐすぐすと泣き始めたラズワードをあやすように、角度を変えながら優しく口付ける。
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