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「よう――待ってたぜ、ラズワード」
ラズワードが連れられた部屋は、レヴィの書斎と思われる部屋だった。壁には地図や施設の間取り図と思われるもの、そういったものが一面に貼られている。ハルの書斎とは全く違う重々しい雰囲気に気圧されそうになりながらも、ラズワードはゆっくりとレヴィの前まで歩いて行く。
「……え、」
そして、レヴィの机の上に散らばっているものに、息を呑む。そこには、ノワールの素顔の写真。誰も知るはずのない、ノワールの素顔が納められている写真が、数枚散らばっている。ラズワードは見てみぬふりをして平静を保とうとしたが……レヴィはまるでそんなラズワードの動揺を見ぬいたように吹き出した。
「……最近、どうよ。ラズワード」
「えっ?」
「ハルとは上手くやってるの」
しかし、彼の口からでてきたのは、ノワールとは全く関係のない世間話。ラズワードは戸惑いながらも彼の話にのったが、心が落ち着かなくて仕方なかった。
今日は、レヴィに魔術の教えを請うためにここまできた。しかし、完全にペースがレヴィに持っていかれている。立場がレヴィのほうが上だということもあるが、ラズワードはレヴィの前に立つとどうにも萎縮してしまう。彼が悪い人物ではないとわかっていても、彼への苦手意識を拭うことはできなかった。
会話を交わすほどに、心を読まれているような気がした。へらへらと笑っているレヴィの目は、戦っているときのように鋭い。
「……まあ、ところでラズワード。今日ここに来たのは……魔術を教えて欲しいからだったかな」
「……はい」
「俺もねえ、暇ってわけじゃないから、ボランティアで先生にはなれないわけだ。だから、俺の条件をのんでくれたら、魔術を教えてあげる」
「条件?」
「条件」と言われて、ラズワードは嫌な予感を覚えた。何を言われるのか――予想がついてしまったのだ。
レヴィは机に散らばった写真を一枚手に取ると、それを眺めて、次にラズワードの目を見て、微笑む。
「おまえも、俺達の革命に参加しろ。それが、条件だ」
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