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「……っ、ハル、様」 「――俺を見て」 「えっ……」 「……っ、俺を、見ろよ……ラズ……!」  ラズワードはハッと目を見開いて、哀し気に顔を歪めた。そして、突然引き倒された驚きで反射的に振り上げた腕から力を抜いて、されるがままにハルに組み敷かれる。そして、ハルと目が合うと――その瞳から、ぼろぼろと大粒の涙を流し始めた。  ハルは、今にも泣きそうな顔をしていた。そして、押し殺しきれなかった情念を、その瞳に滲ませていた。ぐちゃぐちゃで、どろどろで。ハル自身が理解できていない強烈な感情は、彼に抑えることなどできなかった。 「今、……誰のことを考えていた」 「……っ、あの、」 「……ノワールか」 「――ッ、……、あ、あのっ、……ハル、さま……」 「……ああ、そうか」  ずるり、とハルの瞳に一気に翳が落ちた。凄まじい黒の感情をその瞳の奥に蠢かせているというのに、ハルは恐ろしいほどに無表情だ。全て自分が悪いのだと自分を責めながらも、ラズワードは見たことのないハルの表情に恐怖を覚える。  ハルは乱暴にラズワードの脚を掴むと、強引に開かせた。そして、「待って」と震える声で懇願してくるラズワードを無視して、ずぶんっとペニスをそこにねじ込む。 「はぅっ――……」  ラズワードはビクビクッと体を震わせて仰け反った。散々突かれて敏感になっていたそこは、突然の重く強烈な快楽をそのまま呑みこんでしまう。  ハルはそのまま腰骨を押し付けるようにして、ぐりぐりと奥を擦り上げた。ハルのペニスでなければ到達しないソコを思い切り刺激されて、ラズワードは悲鳴のような声をあげて悶える。 「あぁっ、あっ、あぁあああぁあ――……」 「ノワールには何回抱かれた」 「あっ、あぁっ、わ、わからなっ……、あぁっ……あぁぁぁあ」 「わからないくらい多いのか。俺とどっちが多い?」 「はっ、ハル様のほうが、おおい、っ……おおいです、っ……あっ、ぁひっ、ああ、あ」 「……ノワールは上手かった?」 「……っ、……、……っ、あっ、あぁぁぁっぁぁぁあああぁあぁ」 「イかされたかどうか、聞いてんの」 「いっ、イかされました、っ……ノワール様に、イかされました、イかされてました、っ……イッ!? ぐりぐり、ぐりぐりしないでっ……あっ、やだっ、あっあっ、あっ……、ごめんなさい、ごめんなさい、いつも、イかされて、ました、あっ、あっ、ゆるして、ごめんなさい、ごめんなさい、……あっあっあぁぁっぁああぁぁっぁあぁっぁぁぁぁ!!!!」  逃げ場を奪われるように覆いかぶさられて、打ち込むようにズンズンと突き抜かれ、ラズワードは狂ったように叫んだ。泣いて、ぐちゃぐちゃになって、うわごとのように「ごめんなさい」とつぶやくラズワードを見て、ハルは冷たい目で笑う。 「……、仕方ない、って。仕方ないって思ってたよ。おまえが幸せになればいいって。でも、……そんなわけないよなあ? 仕方ないなんて、……そんなわけが……! 俺だって、……俺だっておまえが好きなのに、愛しているのに……! なんで、俺じゃだめなんだよ……!」 「あっ、ぁうっ、あっ、あっ、ご、ごめんなさっ、あっ、あっ」 「くそっ……ああ、そうだな、俺じゃあ、ノワールには敵わないよなあ、……はぁっ、……は、……そんなにあいつがイイか、あいつじゃなきゃだめなのか……、くそ、……殺してやる、殺してやる――……あいつを、……!」

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