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 すっかり、日が落ちてしまった。電気を付ける余裕もなかったラズワードは、暗い部屋にうずくまっていた。  もう、動くこともできない。意識がおぼろげになって、何も考えられない。身体が熱くてたまらない、イきたくないのにイけないと苦しい。「たすけて」とすがるような気持ちだけが胸を満たしている。  ガタ、と音がする。ようやく――ハルが帰ってきたようだ。  身体を起こす気力もなかったラズワードは、首だけを動かして部屋の出入り口を見やる。ドアが開き、部屋の電気がつく。ハルが顔を見せた瞬間――ラズワードはボロボロと泣き出してしまった。 「ただいま~ラズ。元気だった?」 「はる、さま……は、る……さまぁ……」  ハルはすべてをわかっているかのように、目を細めた。ゆっくりとラズワードがうずくまっているベッドの側までやってくると、「どうしたの?」と優しすぎる声色で尋ねる。  ラズワードは必死に身体を起こすと、震える手でハルの服を掴んだ。そして、がく、と崩れ落ちるようにして、顔をハルの腹部にこすりつける。 「はずして、これ、はずしてください、……はるさま……はるさま……」 「外すだけでいいの?」 「……っ、だいて、ください……はるさまの、いれてください……も、いや……」  ぐずぐずと泣きながらセックスを懇願するラズワードに、ハルは満足気に微笑んだ。優しくラズワードの頭を撫でれば、ラズワードは「あぁ……」と恍惚と頬を染める。 「今すぐ、挿入れてほしいでしょ? じゃあ、フェラしてくれる? 俺の、勃たせてよ」 「はい、……はるさま……」  ハルがフェラを強要すれば、ラズワードは躊躇うことなく頷いた。はあはあと苦しそうに息をしながら、ハルのズボンのファスナーに手をかける。しかし、意識朦朧としていたラズワードは、上手くファスナーを下ろすことができなかった。つまみを掴むことができず、指先でかりかりとファスナーをひっかくことで精一杯だ。 「うう、……」 「ラズ……ほら、フェラしてくれないと、エッチできないよ」  ハルに急かされ、ラズワードはぐっと口をそこに押し当てる。そして、なんとかつまみを噛んで、ゆっくりファスナーを下ろした。無事ファスナーを下ろせたラズワードは、焦るようにしてハルのペニスに触れる。フェラを命じられたこともあるが、なにより、ラズワード自身がハルのペニスが欲しくてたまらなかったのだ。 「はぁっ……は、……ん、む……ん、ん……」  むしゃぶりつくようにして、ラズワードがフェラを始める。飢えた犬のようなフェラに、ハルの表情には悦が浮かぶ。紅く染まった肌、ゆらゆらと揺れる腰、涙に濡れた瞳。扇情的なラズワードの姿は、ハルの嗜虐心を煽るには十分すぎた。  ハルはポケットに手を突っ込むと、中に入れていたリモコンのスイッチを入れる。ピ、と音が鳴った瞬間――ラズワードの身体はビクンッと跳ね上がり、大きく背中が反った。 「ああぁああぁああッ!?」  ラズワードのアナルに入ってるバイブレーターのスイッチが入れられたのだ。すっかりペニスに夢中になっていたラズワードは、突然の刺激に身構えることもできず、目を回しながら嬌声をあげる。 「イクッ、イクッ、イクッ、イクッ!!」  ラズワードの身体は倒れそうになったが、ハルがラズワードの顎を掴んでそれを阻止した。ラズワードは膝立ちの状態で、ガクガクと身体を震わせながら天井を仰ぎ、絶頂を迎える。 「貞操帯を付けた状態でイけるんだ、……ナカ、開発しすぎたかな?」 「はるっ、さまっ、イクッ、イっちゃう、イッちゃう――ッ!!」 「え~? フェラを半端にしかしてないのに、一人でイくなんて酷いよ、ラズ」  ハルは「お仕置き」と呟くと、ラズワードの乳首をぎゅうっとつまみ上げた。 「あぁぁぁあ――――――!!」  乳首をぐりぐりとこねくり回し、「だめだよ、イッちゃ」と囁く。ラズワードはそれが聞こえているのかいないのか、目をぎゅっと瞑って快楽に耐えるような表情を浮かべた。しかし、耐えられるはずもなく、ナカでブルンブルンと暴れるバイブレーターの刺激とハルの乳首責めに、あっさりと絶頂させられてしまう。 「ごめんなさいっ、イク、イクッイッちゃうぅ!」 「だめだっていったでしょ。ほら……俺の、しゃぶって」 「ンあっ、ぁぁっ、あ――ンッ……」  バイブレーターも止まらない状態で、ハルはラズワードの口にペニスを突っ込んだ。そして、ラズワードの頭を掴み、ゆすゆすと腰を揺る。 「んっ、ぁうっ、うっ、ううううっ、ぁ、ンぁっ」  ラズワードは涙と唾液をこぼしながら、必死に応えた。ズボッ、ズボッ、と激しく口にペニスが抜き挿しされ、ラズワードはくぐもった声をあげる。  苦しくて、気持ちよくて、おかしくなりそうだ。しかし、口とアナルの両方を責められ続け、ラズワードはのぼせ上がるような快楽に心をとろけさせる。 「あぁっ……」 「頑張ったね、ラズ。えらいえらい」  ずるり、とラズワードの口からペニスが引きずり出される。すっかり勃起したハルのペニスが視界に入り、ラズワードは身体の奥がヒクヒクとうずくのを感じた。もっと頬張っていたくてつい舌を伸ばしてしまうが、はやく熱くとろけきったアナルに挿して欲しい気持ちも強く、ゆらゆらと腰を揺らしてしまう。 「あ、あん、あ、ん……」  ハルに頬を撫でられ、ラズワードはうっとりとした表情を浮かべた。身体のほうは絶頂し続けているのか、ビクンビクンと痙攣を続けているが、その瞳はハルを捉えたままだ。  身体も、心も、ハルに抱かれることを期待している。 「ラズ。貞操帯、とってあげる。いっぱいセックスしようね」

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