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 鳴宮邸に到着すると、ずらりと並んだメイドたちが契と氷高を出迎える。いつもなら威風堂々とその中を歩いて行くのだが――今日の契は、違った。そわそわ、ぎくしゃくと落ち着かない様子で歩いている。氷高の視界から逃げるようにして、必死に顔を彼からそらしていた。 ――実際に、教えてあげる、って。  これから氷高と何をするのだろう、それを考えると緊張してしまったのだ。  女でも連れて来て手とり足とりヤラシイことを教えてもらうのか、それとも学校では教えてもらえないようなアングラな知識を氷高が教えてくれるのか。いずれにせよ、性的なことを身近な人に教えてもらうというのは気恥ずかしいもので、契は氷高に対して気まずさのようなものを感じていた。  しかし、今更引き下がれない。俺は校内一のイケメンだ、学校中の女の子を抱けるんだから、その時のためにそういうことはしっかりできるようにしなきゃ――そんなことを、契は考えていた。 「では契さま。シャワーを浴びて、お部屋で待っていてください」 「シャワー? いつも夕食の後に浴びてるのに……」 「気を引き締めていきましょうということです」 「……なるほど!」  親がいない、いつもよりも静かな屋敷。ちょっぴり、悪いことをしているような気分になって楽しい。  契は、ドキドキと高鳴る胸を抑えながら……気もそぞろに浴室へ向かっていった。

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