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「ごめんね、遅くなっちゃった。いこっか、契くん」  夜になって、ようやく莉一が契を迎えに来た。真琴も一緒についてきていて、にこにこと契に笑いかけてくる。 「篠田くんの家にいくんだって? あんまり篠田くんに迷惑かけちゃだめよ」 「うん。わかってるよ」 「……? ……契? 何かあったの?」 「え?」  真琴は親しくしている仕事仲間と契が仲良くしていることを喜び笑っていたが、契を見るなりその笑顔は消えてしまう。契が、いつもとは違う様子だったから。真琴はそんな契を心配したのだった。  しかし、契は首を振ってそれを否定した。真琴にそんなことを聞かれる原因を、わかっていたからだ。そして、その原因を認めたくなかったから。 「……なんでもないよ。莉一さん、今日はよろしくお願いします」 「……うん。こちらこそ」  莉一はそんな契を見て、一瞬目を細める。しかし、すぐに柔らかい笑みを作って、微笑んだ。

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