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「なに、あれ?」
「あ~神藤君やっちまったかな~」
放課後、生徒会室。会計の牧石 可織 と鑓水は肩を寄せあってこそこそと話していた。二人の視線の先には――
「一部足りていない。雑用も満足にできないの、「副」会長さん」
「ああすみませんね、一々小言言わないと気が済まないんですか、生徒会長様のくせに心が狭いな」
静かに火花を放つ沙良と波折が。お互いに嫌悪をあらわにしたように睨み合っている二人に、可織と鑓水は苦笑いするしかない。
「ぐいぐいいくなっていったのにな~神藤君。っていうか波折、限界突破するとああなるんだ」
「新鮮で面白いかも」
「仕事に影響ださなきゃいいんだけどね。それにしてもウケる」
露骨に険悪ムードを出す二人に、生徒会のメンバーは迷惑がるどころか面白がっていた。波折の王子様モードしかみていなかったため、新しい顔をみることができて楽しいのだろう。トップが面倒なことになってもカバーできることができるくらいに生徒会のメンバー全員が優秀なために楽しむ余裕がある、というのもある。
「いいな~ライバルって青春っぽくて」
「いやあれライバルじゃなくね? 好敵手じゃなくね?」
「嫌味言い合える程度の喧嘩ならみてて可愛いからなんでもいいじゃん!」
「まあ確かに可愛いっちゃあ可愛い」
他の生徒会のメンバーも、ちらちらと沙良と波折ををみては笑っている。二人はそんな視線に気付くこともなく、結局その日の活動が終わるまで小競り合いを続けたのだった。
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