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保健室には人がいなかった。放課後ということで、もう保健医はいないらしい。鑓水は中に入っていって、ベッドに波折を寝かせてやった。バイブの強さをマックスにしたままここまできてしまったから、波折はもう断続的にイッてしまって、ぐったりとしている。
「頑張ったじゃん、波折。淫乱のおまえは30分と持たないと思ったよ。でも残念だったな、あと10分……惜しい惜しい」
「けい、た……」
「約束だ、波折……最後までちゃんと仕事できない悪い子には、オシオキしてやるよ」
鑓水は波折の上に馬乗りになると、波折のスラックスと下着を一緒に剥いでしまう。何度も射精をしてはカウパー液をだらだらと漏らしていたのだろう、下着はぐっしょりと濡れて糸を引いていた。鑓水が波折の太ももを鷲掴みして開脚してやると、波折が「あんっ……」と小さな声をあげる。淫らな格好をさせられる自分に興奮しているようだった。
「パンツぐっちょぐちょ。制服にまで染みてるんじゃね? 波折。まじ何回イッたの?」
「わからな……」
「ねー。生徒会のみんながいるところでイきまくりとか、引くわ。真面目にみんな仕事してるのに一人だけ気持ちよくなってんじゃねーよ、淫乱会長」
「あぁんっ……」
ぱぁん、と鑓水が波折の尻を叩く音が保健室に響く。「変態、ドエム、痴女、」様々な罵声をあびせながら鑓水が尻をぶてば、その度に波折は嬌声をあげて悦んだ。尻を真っ赤に染め上げ、それでもバイブを咥え込んだアナルをひくひくとさせて感じている。
「ケツ叩かれても感じんだ!? パネェな? 会長!」
「慧太さまぁ……もっと……」
「ああ? おら、ケツ叩かれてイッちまえ」
「はぁんっ……イクッ……いっちゃいます……けいたさま……」
パン、パン、激しく平手で尻肉をぶってやれば、波折のペニスからたらたらと透明な液体がこぼれ出る。鑓水はそれをみて、うえ、とわざとらしく舌をだして波折を嘲笑う。
「やべぇな、これでイクとか。っつーかこれからブチ犯すんだけど、チンコっこんだらどんだけ感じるわけ? 今のおまえ」
鑓水は波折のアナルにずっぷりとささったバイブを、躊躇いなく引き抜いた。「はぁあんっ……!」なんて、波折が鳴いたのを無視して鑓水は空になったアナルを覗き込む。バイブがささっていたアナルはぽっかりと穴があいていて、ひくっひくっとうずいていた。
「波折。言ってみてよ。いやらしく、犯してくださいって」
鑓水が顔をあげて、波折を見下ろす。ふん、と笑ってやれば、波折は物欲しげに鑓水を見上げた。
波折はそろそろと自分の股間に手を伸ばしていって、ぐっと自ら大きく脚を広げる。そして、アナルに指を添えて、鑓水に見せつけるようにくぱっと穴を大きく開くと、蕩けきった声で鑓水に請う。
「慧太様……俺のいやらしいおまんこに、慧太様のおちんぽ挿れてください。お願いします……犯してください……慧太様……お願いします……」
くっ、と鑓水が顔を歪めて嗤った。
脱がせた精液でぐしょぐしょのパンツを、波折の口に詰め込む。そして、波折をうつ伏せにさせると、腰をもちあげて獣のような格好をとらせた。
「声……あんまりだすなよ。どこで誰がきいているかわかんねえからな。その自分のせーえきまみれのパンツしゃぶってな!」
「んんッ……!」
がし、と波折の尻肉を掴んで、鑓水は一気に波折の穴にペニスを突き立てる。ズンッ、と急にすさまじい衝撃が全身を貫いて、波折は腰を大きくくねらせて藻掻きだした。
「ほら、会長様? こっちむけよ」
「んーっ……!」
鑓水がガツガツと腰を突きながら、波折の髪を掴んで無理やり顔を自分のほうへ向かせる。辛い体勢だからか、波折は苦しそうな顔をするが、その顔はすっかりとろとろになっている。鑓水はそんな淫靡な表情をみて馬鹿にしたように嗤うと、ポケットからスマートフォンを取り出した。
「はーい、みんなのあこがれの生徒会長様、激写~」
「んっ……んんっ……!」
カメラを起動し、カシャカシャと何枚も写真をとる。そして同時に思い切り腰を振る。波折が涙をながしながらも気持ちよさそうに表情を蕩けさせ、犯されている姿がどんどん画像フォルダにたまってゆく。
しばらくそうして波折の奥を突きまくってやった。安っぽいベッドはギシギシと激しく軋み、喧しい。満足するまで犯し、そろそろだせそう、というところで鑓水はペニスを引き抜いた。そして波折を乱暴に反転させて仰向けにすると、波折に向かって精液を放ってやる。精液は波折の顔とネクタイ、カーディガンに付着し、波折はいかにも犯されました、といった姿になってしまった。
「波折ー。言ってみて。俺は慧太様の性奴隷ですーって。エッチなこと大好きな変態なんですーって」
鑓水がまたカメラを波折に向ける。波折の口に突っ込まれたパンツを引き抜き、動画画面を起動すると、はあはあと呼吸を整えなかなか言葉を紡ぐことのできない波折の尻を思い切り叩いた。波折は「ひゃんッ……!」と鳴いて、その瞳をカメラに向ける。
「お、れは……けいたさまの、性奴隷です……えっちなことだいすきな、へんたいです……」
波折は命令されたとおりの言葉を言って、またペニスからたらたらと蜜をこぼした。淫らなことを言わされて、興奮しているのだろう。鑓水が愉しくて仕方ない、という風にわらいだしたそのとき――ガラ、と保健室の扉が開く。
「……波折先輩ー、鑓水先輩ー……いますか? あの……荷物、持ってきたんですけど……」
「――神藤か」
鑓水は声のした方をみて、ぼそりと呟く。仕切り用のカーテンをしめているため、保健室の入り口からこのベッドの上でなにが起こっているのかは見えないだろう。鑓水はくしゃ、と乱れた髪を軽く整えて、静かにベッドを降りる。そして、ぼんやりとしている波折の頭を軽く撫でると、カーテンを小さくあけて、その隙間から外に出て行った。
「よ、神藤。わざわざありがとなー」
「いえ。……あの、波折先輩……大丈夫ですか? そこに寝ている……んですよね」
保健室にはいってきたのは鑓水の思った通り、沙良だった。沙良は生徒会室から持ってきた波折と鑓水の荷物を近くにあった椅子に置くと、ベッドに近づいていこうとする。しかし――鑓水は沙良の手を掴んで、それを阻んだ。
「大丈夫だから、波折は。俺が送ってくし」
「あ、顔だけ見て行きたいなって……すごくつらそうだったし」
「今寝てるからさ、起きちゃうからそっとしておいてよ」
「……?」
頑なにベッドを見せようとしない鑓水に、沙良は不信感を覚える。そして……あれ? と気づく。鑓水のシャツが最後にみたときよりも、わずかに乱れているような気がしたのだ。朝に食堂で言われたこと、そしてこの状況――まさか、と思って沙良は震える声で尋ねる。
「……あの。鑓水先輩。ここで、なにかしていましたか?」
「……へえ」
沙良の表情をみて、鑓水は顎に手を当ててにや、と笑う。そして、とん、と沙良の肩に手を置いた。
「……少しは人を疑うことを覚えたみたいだな、チェリーボーイちゃん」
「ちぇっ……は、はあ!?」
「何してたって、そんな変なことしてないって。保健室なんてやることはひとつだろ」
す、と鑓水は沙良の耳元に唇をよせて、囁く。
「つらそうだったから、お注射してました」
「えっ……ちゅ、注射って……」
「――セックスだよ」
「……せ、」
ふら、と沙良はよろめく。信じられない、といったふうに鑓水とベッドのカーテンを見比べて、引きつったような笑みを浮かべる。
「え、っと……波折先輩と、鑓水先輩って……お付き合い……され、」
「さあ? どうでしょう?」
「……」
はは、と沙良は笑い声をこぼす。今にも泣きそうに瞳を潤ませて――
「えっと、……今日はお疲れ様でした! な、波折先輩にも……よろしく、言っておいてください……!」
鑓水に背を向けて、逃げるように保健室を飛び出してしまった。
沙良が出て行ってしまった保健室は、再び静寂が訪れる。鑓水はベッドに戻って、くたりと横たわる波折を見下ろした。ぽーっとした顔をして精液でどろどろになった波折。もしこれを沙良がみたらどんな反応をしただろうと、鑓水は心のなかで「どんまい」と笑ってやる。別に後輩を馬鹿にしているわけではないが……あの素直さをみていると、鑓水はどうにもむしゃくしゃするのだった。温室育ち――そんな沙良の雰囲気が自分とはまるで違って、どうにも気に食わない。
「神藤、泣きそうな顔していたぜ。あいつもかわいそうなやつだな。おまえみたいなクソビッチを好きになっちまってよ」
「慧太……」
波折がゆっくりと鑓水にむかって手を伸ばす。そして、鑓水の右手の小指をそっと掴むと、かすれ声で囁いた。
「……ありがと」
「……あ?」
なにが? 鑓水は眉をひそめるが、波折はそれ以上何も言わない。疲れてしまったように目を閉じて、はあ、と大きく息を吐く。
(もう、きっと沙良は俺に近づかないですむかな……)
ちょっと寂しいな、一瞬浮かんだ想いを波折はすぐに心のなかで踏みつぶした。
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