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「神藤から? なんだって?」 「……明後日うちに来て欲しいって」 「うちに? なんでまた」 「前から約束していたから……」 「ふうん? 結構仲良くしてたんだ。そりゃあ神藤には悪いことしたなあ」  電話を切ったあと、波折はベッドに座る鑓水のもとに寄って行った。すとん、と隣に座ると、鑓水がその肩を抱き寄せる。 「で、その顔何」 「……顔?」  鑓水が波折の顎をくっと持ち上げる。きょとんとする波折の顔を覗きこんでは、じろりと睨みつけた。 「後悔しているようにもみえるし、……嬉しそうにもみえる」 「……!」  鑓水の言葉に波折はぱちりとまばたきをする。図星、といったその表情。しかし波折はふいと鑓水から目をそらし、抑揚のない声で呟く。 「……気のせいだろ」 「……おまえがそういうならそれでいいけど」  ぐい、と頭を引き寄せられて、唇を奪われる。波折は甘い声をあげながらそのキスを受け入れて、鑓水を引き倒した。どさりと自分の上にのしかかってきた鑓水を抱きしめ、舌を激しく交わらせる。  ――鑓水の言葉は、まさしく波折の心の中を言い当てていた。沙良とは仲良くしてはいけないのに、つい「いける」と答えてしまった後悔。そして……沙良の家にまたいけるという、嬉しさ。なぜ自分が沙良に会えることを楽しみにしているのか波折は自分で理解していなかったが、嬉しいのだという事実を鑓水に言い当てられてぎょっとしてしまった。顔にでているのだとしたら、沙良の前では出さないようにしないと――そう思った。

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