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***  生徒会の活動を終えて、帰路に就く。今日は一日中上の空で何にも集中できなかった。考え事をするにしてもこんなことは初めてで、波折は自分がおかしいんじゃないかと思ってため息をつく。  すでに暗くなった空を見上げて、冷たい風を感じる。最近はずっと二人で帰っていたから、一人で帰るのは久々だ。隣に誰もいないと少し寒いんだな、と思った。 「……!」  そのとき、スマートフォンのバイブレーターがなる。ポケットから取り出してみれば、鑓水からの電話だった。どき、として画面をタップして耳に当てれば、能天気な声が聞こえてくる。 『もしもし、波折?』 「どうした」 『えっ? いや~頼みがあってさ!』 「頼み?」 『コンビニで肉まん買ってきて! 今めっちゃ食いたい』 「……はぁ?」  ものすごくくだらないことで電話をしてきたな、と波折は軽く吹き出した。それと同時にきゅ、と小さく心臓が痛んで変な感じがした。 「わかった、買って帰る」 『やり~! ありがと!』 「もうすぐ帰るから」 『おお、待ってる!』 「肉まんを?」 『ん~? なんて言って欲しい?』  ああ、変な冗談を言ったかな、なんて波折は後悔する。一瞬の間波折が黙り込めば、画面の奥から笑い声が聞こえてきた。 『波折のこと、待ってるよ』 「……あっ、そ」 『早く会いたい、波折』 「……うん……」  かあっと顔が熱くなった。本当に馬鹿な質問をした、と少し前の自分を殴りたかった。波折はぼそりと「じゃあ」と言って電話を切って、スマートフォンをポケットに突っ込んでしまう。 「……っ」  どうしよう。家に帰ったら、彼と目を合わせられないかもしれない。 家に帰るのが億劫で。でもそれでいて足は何故か早足で。こんなの初めてで、どうしたらいいのかわからなかった。

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