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第十一章

***  最近は憂鬱だ。  妙に早く目が覚めてしまって、沙良は布団の中にもぐりながらどんよりとした顔でスマートフォンを弄っていた。憂鬱の原因はもちろん波折だ。波折のことが好きで好きでたまらないのに、彼はどうやら鑓水とイイ感じで。夢に何度波折が出てきただろう。夢の中では波折は自分のことを好きと言ってくれる。自分だけに純情でいてくれる。 「……むなしい」  夢の中で、波折と少しエッチなことをした。だから朝立ちのようなものをしてしまっている。失恋した相手を夢にみて、勃つなんて虚しいにもほどがあると沙良は泣きそうになった。でもとりあえず抜かないとなあ……と適当にスマートフォンでアダルトサイトのURLを開く。例の奴隷調教日記のサイト。更新履歴をみてみると、どうやら最新更新は二週間ほど前。  ――最近、更新されていない。 「……?」  そう、丁度鑓水が波折の家にいくようになった辺りからだ。だからなんだ、というところだがなぜかそれが沙良は引っかかってしまう。 「……んん?」  そういえばこのサイトにでてくる少年は波折と同じようにチョコレートを食べると発情するなんて稀有な体質を持っていた。 「――え?」

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