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通学路を歩きながら、沙良は浮かび上がってきた疑惑について延々と思案していた。
波折が、あのアダルト動画にでてくる少年ではないか、ということ。
まず、チョコレートを食べると発情してしまうなどというありえない体質。そして、鑓水が波折の家にいくようになってから更新されなくなったサイト。鑓水が波折の家に泊まるようになったことで波折が動画にでてくる「ご主人様」と会えなくなり、サイトの更新がなくなったのではないか。そして、少年の体型や喘ぎ声も波折と似ているような気がする。
「でも……」
あの波折が? あの波折があんな低俗なアダルト動画に? 生徒会長で品行方正でみんなの憧れで。身体は確かにエッチだけど純粋そうな瞳をしているのに。
しかしそうした疑惑がでてきたとなると、波折にはたしかにどこか影があるような気がしてきた。異常に他人から好かれることを拒むというのも、もしかしたら自分の行いに引け目を感じているからかもしれない。
「……」
どうしよう。波折に聞いてみるか。でもそんなことを聞いて彼が傷ついたら。
(いや……)
沙良はぎゅっと拳を握り締める。
聞こう。本人に直接。
ある想いが沙良の背を押す。波折に事実を確かめねば、そう思った。
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