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第十二章(1)

***  とうとう来週に学園祭を控えたJSは、朝から賑わっていた。朝早く登校して有志の練習をしている生徒も多く、いつもなら人の少ない早朝だというのにたくさんの生徒が登校してきている。 「あっ」  沙良のクラスは演劇といった類のものではなく、模擬店をだすため練習という練習はない。沙良がいつも通りの時間に登校すれば、ちょうど校門のあたりで波折と鑓水に出会う。 「……お早うございます」 「うおっ、神藤。おはよ~」  鑓水は沙良を発見するなり、わざとらしく波折の肩を抱きにやにやと笑った。むっとしながら近寄ってきた沙良に、鑓水はぼそりと言う。 「……昨日波折とセックスしたんだって?」 「……しましたけど」 「感想は? セックスのときの波折超可愛いだろ?」 「……超可愛いですね!」  俺の方が波折のことを知ってるぜ、とでも言いたげな鑓水の言葉に沙良はカチンときてしまう。間に挟まれている波折がぽかんとしながら二人を眺めているのにお構いなしに、二人は口論をはじめてしまった。 「何回イカせた? こいつ俺とヤるときめっちゃイクんだけど。ヤったあと立てなくなるんだぜ」 「……は、初めてでそんな激しいのしませんから!」 「え~? 技術の違いじゃねえの~? 波折のこと好きならこのやーらしい身体ちゃんと満足させてあげないと」 「できます! 俺がんばるんですからね!」 「ほ~」  鑓水と波折の密着っぷりやら沙良が鑓水に突っかかっているのやら、登校してきた生徒たちの注目を集め始めている。それに気付いた波折がとんとんと鑓水の腕を叩くと、鑓水はふん、と笑って波折を離した。 「な、神藤。ちょっとこっちこいよ」 「え?」  それはそれは楽しそうに、鑓水は波折の手を引きながら沙良を手招きする。向かっている先はどうやら校舎裏。ひとけのない場所だ。手入れのされていない雑草が鬱蒼を生えている。冷たい空気が肌を撫ぜるこの場所は、普段は生徒がこないようなところ。 「神藤、おまえ、こいつの気を引きたいんだっけ」 「け、慧太……あっ……」  鑓水は壁により掛かると、波折を後ろから抱きすくめる。そして、服の下から手を突っ込んで胸を露出させた。指先で乳首をぎゅうっとつまみ上げて、こりこりと刺激してやる。 「悠長にしていると、俺がこいつのこともらっちまうよ?」 「あっ……あぅっ……けいたっ……なにすん、の……ひゃんっ……」  乳首を可愛がられて、波折は腰が砕けそうになったのか下半身がかくかくと揺れる。しかし、脚の間にぐりっと鑓水の膝がいれられて、それ以上下がっていくことができない。全身をゆさゆさと膝で揺さぶられながら乳首をこりこりされて、波折はのけぞりながらアンアンと甘い声をこぼしていた。  ぎょっとした顔でそんな波折をみている沙良をみて、鑓水がほくそ笑む。青臭いこの男をからかうのは愉しい。それに今、沙良は恋のライバルだ。敵となる彼が自分にどんな反応をしてくるのか気になった。 「なっ……波折先輩! なにちょっと乳首いじられたくらいでアンアン言ってんですか!」 「それいつものことじゃね? こいつの身体すっげえエッチぃじゃん」 「そ、そうですけど! なんかむかつく!」 「ん~? ほらほら見ろよ、俺にイジメられてよがってる波折のこと」  きーっと悔しそうにしている沙良をみて鑓水がけらけらと笑う。波折は自分のいやらしいところを見られることには抵抗がないようで、むしろ興奮しているように見えた。熱に浮かされた瞳がぼんやりと沙良を見つめ、そして身体をくねらせる。 (な、波折先輩の変態……!)  沙良は苛々としてずいっと二人に近寄った。そして、ぱしりと鑓水の片手を波折の胸から払う。 「波折先輩、俺だってちゃんと波折先輩のこと感じさせてあげれますよね!?」 「へっ……?」  沙良が鑓水に弄られてぷっくりと紅く膨れ上がった片方の乳首をぎゅっと掴む。もう片方で鑓水がくりくりといじっているのを見ながら、違う責め方をしてやろうと指の側面で根本からつまみ上げ、ぐいぐいと引っ張ってやった。

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