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「えっと……先輩、大丈夫?」
三人が気が済むまでエッチをして、日付も変わりそうになるころ、ようやく三人は就寝となった。やりすぎたせいか波折はぽーっとしていてなんとなくみていて不安になる。でも、沙良が声をかけてみれば、ふにゃ、と笑って言った。
「うん……おなかいっぱいできもちー……」
「……そ、ですか。よかったです」
自分のお腹をなでなでとしながら言っている波折は非常にいやらしかった。二人の精液がいっぱいはいっているところ。そこを触って満足気にしているなんて……相変わらずの淫乱。
「じゃー……電気消しますね。明日は6時起きでー」
波折が大丈夫そうだとわかると、沙良は部屋の電気を消し――自分の寝床にはいる。
「……鑓水先輩と一緒に寝る日がくるとは思いませんでした」
「ほんと、誰が得すんだってな」
疲れていそうな波折は、沙良のベッドで。あとの二人は床につくった簡易の寝床で。いつも誰かと一緒に寝ている波折は一人で寝ると寂しいかな、とも思ったが、やはり疲労がたまっているのだろう、すぐにすうすうと寝息が聞こえてきた。あとは慣れない人同士で一緒に寝ることになった二人。お互いに背を向けて、眠気がやってくるのを待つ。
「あの……鑓水先輩」
「ん……」
波折が完全に寝たところで、沙良がボソリと声をあげる。
「……鑓水先輩って今の関係、いいと思っているんですか」
「今の関係ー?」
「……波折先輩がどっちつかずっていうか……」
「いーじゃん。波折がそれでいいなら」
「……だって、絶対おかしいじゃないですか……」
「……」
ごそ、と毛布がこすれる音がする。ちらりと沙良が振り向けば、鑓水が肘をついて沙良のほうをみていた。
「まあ、普通ではないかな」
平然と、そう言った鑓水を沙良はぽかんと見つめる。普通じゃないってわかっているのに、いーじゃんなんて言うんだ、と少しばかり驚いた。沙良は、それは波折と自分が結ばれたならそれが一番うれしいと思っているが、こうしてなあなあとした関係を続けるくらいなら鑓水と結ばれてもいいと思っている。だって、こんな関係を続けて幸せになれるなんて、とうてい思えないから。
「神藤おまえすごいね。ちゃんとしててさ」
「……え」
「俺、もう無理だわ。波折のこと好きすぎて、普通とかそういうのどうでもいいの。自分が壊れても、どうなっても、波折がいればそれでいい」
「……っ」
なんだか、何も言い返せなかった。沙良は鑓水の方をむいたまま、すごすごと布団に顔を半分埋めてしまう。
「……だめですよ、先輩……壊れちゃだめです」
「もののたとえだってー」
鑓水がぽんぽんと沙良を布団の上から叩く。
鑓水の言葉にどこかひっかかりを感じながらも、やはり沙良も疲れているせいで上手く頭が回らずそれ以上何かを考えることができなかった。やがてやってくるまどろみに身を任せ、そのまま眠りにおちていってしまった。
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