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「――おはよう、沙良」
目が覚めて、三人でリビングに向かうと洋之が朝食を準備していた。昨夜は大分夜更けに帰ってきていたらしく、沙良はいつ彼が帰っていたのかわからない。テーブルをみると、彼を含めて四人分の朝食がちゃんと準備してあって、沙良は感動してしまう。
「金髪の彼……はじめましてだね。俺は沙良の父親の洋之だ」
「あ、はじめまして。鑓水です。おじゃましています」
「鑓水くんはー……沙良のお友達?」
「友達というか……先輩です、生徒会の」
「ああ、そっか。沙良、生徒会の人たちと仲いいな~」
席について、食事をとりはじめる。バタートーストと簡単なサラダ、それからスープといった軽いメニューは朝の胃袋に心地よい。
「今日は学園祭なんだよね」
「うん」
「へー、じゃあ、頑張れよ~!」
他愛のない話をして、朝の時間は過ぎてゆく。鑓水は洋之と話すときには敬語で、沙良はなんとなく敬語を使う彼が新鮮にみえて面白いと感じた。相変わらずの波折のよそ行きの態度には、そろそろ慣れてきた。
ああ、とうとう学園祭か、となぜか実感がわかなくて、沙良は今のゆったりとした朝食の時間が非現実的に感じた。始めての学園祭、もしかしたら来年再来年にはもっと責任のある立場についていて大変かもしれない。今日は思う存分楽しもうと、沙良は胸をおどらせた。
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