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「鑓水先輩! 鑓水先輩きた!」
可織が出て行って数分後、今度は鑓水が訪れたらしい。入り口のほうから伝言ゲームのようにその情報が伝わってくる。鑓水はどうやら女子に人気が高いらしく、裏側ではきゃーきゃーと小さく女子たちが騒いでいた。
「……げ、鑓水先輩」
沙良のいるところからも鑓水がちらりと見える。鑓水は男女混合のグループで来ていた。なんだかムカつくなーと思いつつ、沙良は鑓水の表情を観察する。鑓水は色んな所から飛び出す仕掛けに一瞬びくっとしては何事もなかったように平静な顔をする。そして「えー、こわーい」などと言って鑓水に張り付いてくる女子に「よゆーだろ」なんて言っているものだから、沙良は笑いを堪えるのに必死だった。
「鑓水先輩にくっついてる人、すっごい可愛いね!」
「え、あー……たしかに」
「やっぱ鑓水先輩と付き合えるのはああいう子なのかなー」
(鑓水先輩はとある男子生徒にぞっこんです)
茉由も、周りの女子も鑓水のそばにいる可愛い女子に気が気じゃないようだ。事情の知っている沙良はそんな女子たちの会話を聞き流して、鑓水の背中を見送った。
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