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夜の11時ころだ。いつもならこの時間は起きているのだが、学園祭終わりということもあって少々眠い。テレビを眺めながら鑓水がうとうととしていたそのとき――ドアチャイムがなる。鑓水はハッと弾かれたように反応して、玄関まで向かっていった。
「――ただいま、慧太」
「……波折。まじで帰ってきた」
扉をあければ、波折が笑顔で立っていた。きらきらとした笑顔。一週間ぶりに我が家に帰ってこれて嬉しいのだろうか。
「……篠崎は? 本当に大丈夫なのか?
」
「うん。もう大丈夫。慧太とまたなんでもできるよ」
「……ほんとに? でもどうして?」
「……どうしてって……篠崎くんがもう俺に文句言わなくなったから、かな?」
波折の言動に若干の違和感を覚えながらも、鑓水も波折と再びこうしてふたりきりになれることは嬉しかった。なるようになるだろう、また篠崎が文句を言ってきたのならそのときだ――そう思って鑓水は波折を抱き寄せ、唇を奪う。
「あっ……慧太……」
「波折、なあ、明日休みだし……」
「うん。いっぱい抱いて。一晩中愛して。慧太……」
波折がぎゅっと鑓水に抱きついてくる。そして、呟いた。
「……もう、ずっと一緒だよ」
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