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「波折。今の、どっちに触られてイッたの?」 「……わかり、ませ……」 「ふうん?」  ひくひくと震える波折に、淺羽が声をかける。波折は鑓水の首元に顔をうずめながら、ふるふると顔を振った。淺羽のくすくすという笑い声が聞こえてくると、波折はビクッと怯えたように肩を跳ねさせる。 「波折。じゃあ、俺達にわかるように教えてよ」 「へ……?」  ぐ、と淺羽が波折の頭を掴み、振り向かせた。鑓水が睨んで制止をかけても淺羽は物怖じしない。 「これから二人のおちんぽ交互に挿れるからね。どっちのとき気持ち良さそうにしてたか、俺達みてるから」 「……っ」  波折が瞠目して、息を呑む。そんなことを言ったら、鑓水がどうなるのかわからない。ぎゅっと震える手で鑓水の服を掴むと、淺羽はそんな波折の腰を持ち上げて鑓水にしがみつかせたまま臀部を突き出させる。 「じゃあ、俺が先」 「おい……何勝手に」 「俺が先だよ。俺に突かれてよがっている波折のことをよくみているんだ。そして、ソレに負けないように、次に気持ちよくしてあげてね」  くくっと淺羽が笑って、自らのペニスを波折にアソコに押し付ける。波折が顔を真っ赤にしてのけぞって、そして儚い声をあげた。 「はぁんっ……」 「ほら、おまえのずーっと欲しかった、俺のおちんぽだ」 「ごしゅじん、さまっ……あっ……! 入って、くる……」  ずぶっ、と淺羽のペニスが波折の奥まで入り込む。そうすれば波折はがくがくと震えだし、ペニスからぱたぱたと白濁を飛び散らせた。たまらない、そんな波折の様子に鑓水はぎりっと歯を噛みしめる。見たくもない結合部をみれば淺羽の太いペニスがずっぽりと刺さっている。 「ほら、どう? 俺のは」 「はっ……はっ……おっきぃ……」 「大好きだろ? 俺の。ほら……言って、みて!」 「あぁんっ!」  ぱん、と淺羽が腰を波折のそこに叩きつける。その瞬間波折の身体は大きく跳ね上がって、甲高い声が口から漏れだした。 「ごしゅじんさまの……おちんぽっ……あっ……きもち、いいっ……!」 「ほら、もっと言え!」 「あんっ! あんっ! さいこぉっ……! ごしゅじんさまのおちんぽ、さいこぉっ!」  がくんがくんと揺れる波折の身体を抱きながら、鑓水は唖然と波折を見下ろしていた。ものすごく、淫らだ。いつもの波折も充分に卑猥だが、今の波折はそれよりもずっとずっと。 「だいすきぃっ……ごしゅじんさまのおちんぽ、だいすきっ……!」  目はとろとろに蕩けさせて今にもイカれてしまいそう。唇からは唾液をこぼして、舌をだらりと垂らす。次第には自らも腰をふりふりと降り始めて、更なる快楽をむさぼる。「あひっ、ひゃあんっ、」としきりに鳴いている波折は、もはやいつもの面影がない。 「……」  ムカつく。なんで、こんなキチガイに抱かれてよがってんだよ。俺のほうが、絶対に波折を愛しているのに。 「あぁんっ……! あひゃあっ! ごしゅじんさまっ!」  鑓水の中で黒いモヤがぐるぐると回りだす。 「――あれ、鑓水くん」  鑓水が黙りこんでいると、淺羽が声をかけてきた。ゆらりと鑓水に見つめられれば、淺羽はにっこりと笑ってペニスを波折から引き抜く。 「あぅん……」 「どう? 俺よりも波折のこと、気持ちよくさせてあげれそう?」  淺羽はまだ波折のなかに出していない。波折は物足りなそうにはあはあと息をしている。淺羽のことをチラチラとみては「なかにちょうだい、はやく、はやく」と視線で訴えている波折をみていると鑓水はムカムカとしてしまって、勢い良く波折の頭を掴んで自分のことを見させる。 「ざけんなよ、俺のほうが絶対に波折のこと感じさせられる」 「けい、た……?」  いつもよりも乱暴。そんな鑓水をみて波折は不安そうに瞳を震わせた。そのまま横に倒されて、腰を掴まれる。 「あっ……あっ!」  思い切り、鑓水は波折の奥を突き上げた。いきなり挿入されて、波折はびっくりしたようだ。びくんっ、とのけぞって大きな声をあげてしまう。 「きゃぅっ……あぁあっ!」  ごりごりと奥の方を抉るように、鑓水は腰を押し付けた。波折の感じるところは、大分知っているつもりだ。全部、思い切り責めてやる。焦らしもなにもいらない、この「ご主人様」のことなんて考えられなくなるくらいに、イかせてイかせてイかせまくってやる。  鑓水は、淺羽の挑発に感化されてムキになっていた。とにかく波折の心を自分のものにしたかった。波折が幸せなら、波折が誰と一緒にいてもいいと思っていたのに、淺羽にはやりたくない。淺羽だけはダメ。こいつにやるくらいなら、自分のものにしてやる。 「あっ! あっ! あっ! あっ!」 「波折、イけよ……もっと、もっとイけよ」 「あっ……ひゃあんっ! あっ、いっ……いくっ……! あ、だめっ、あっあっ!」  ズコズコと激しくペニスを出し挿れする。波折の身体はがくがくと揺さぶられ、波折の焦点は定まっていない。すがりつくところを求めて淺羽に手を伸ばせば、鑓水が勢い良くその波折の手を払う。 「はあっ……はぁっ……あっ、あっ……」 「波折……こっち見ろよ……!」 「け……いた……あぁあっ……あっ……!」  何度も何度も、波折はイッた。びくびくと激しくペニスを締め付けられて、鑓水にもやがて絶頂が訪れる。  パンッ! と思い切り腰を打ち付けて、鑓水は波折のなかに精液を出してやった。そうしていると、淺羽がにこにこと笑って、自らの手でペニスをしごき、波折の顔に射精する。 「うっ……」  波折がひくひくと震えて、目をとじる。顔にかかった精液が、てらてらと光っている。 「波折。どっちが気持ちよかった?」 「……わから、ない……です……」  波折は泣きながら、呻くように答えた。いつもよりも乱暴に犯されて身体に負担がきているのかもしれない。はっきりと答えを言わなかった波折に、淺羽はふうとため息をついて笑う。 「まあ、いいか。さて、鑓水くん。俺達の親睦も深まったところだし」 「……親睦ゥ?」  嫌味にしか聞こえない淺羽の言葉に鑓水は眉をひそめる。しかし淺羽は全く気にしていない。 「これからのことだけど。君にも、協力してもらうからね」 「……協力」 「そう。君は俺達の仲間だから。君も、魔女になってもらうよ」  目を細めた淺羽を、鑓水はじっと睨んだ。気味の悪い目つきだ。蛇のような。  どうせ、逃げられない。波折のそばにいると決めたからには、どんなことだってしなければいけない。この男の餌であると知りながらも……これから自分は、世間から断絶されて生きることになるとしても、手を悪に染めなければいけないのだと――鑓水は諦めたように笑って、淺羽の言葉に耳をかたむけた。

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