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Ⅹ 好きな気持ちに嘘はつけない!
ギャアァァァー!
「どうしよう~ッ!」
ウェディングケーキがっ
グチャグチャだぁ~~
ドレスの裾、踏んづけて
俺が転んでしまったせいで
壬生様手作りの大切なケーキだったのに
ぎゅうっと背中から抱きしめられた。
「お互いクリームまみれですね」
俺を抱きしめたせいで白いタキシードもグチョグチョだ。クリームの甘い匂いがする。
「貰ってくれますね」
あの時
受け取れなかった水色のリボンの箱
中にはシルバーのキーリングが入ってる。
それと……鍵
「他人じゃないんだから……列樹」
ドキンッ
左胸の鼓動、ドキドキ、バクバク悲鳴を上げる。
だって、壬生様が俺を
名前で呼んだ
「同じ名字になるのに『春道さん』は変だろう」
俺の心臓、破裂しそう。
「この鍵は……」
「もちろん合鍵」
クルリと体を反転させられて、壬生様……うぅん。
忠岑さんと向き合った。
指ですくったケーキのクリームを、忠岑さんが自分の唇に付けた。
「世界一甘い口づけをあげるよ」
甘い甘いケーキのキス
世界一幸せの味
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