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ご主人様とメイドちゃん1
晴れて茅野と恋人同士になり、イチャラブモード全開ッ!!
……そう思っていたのに、現実は非情だった。
時期は折しも中間テスト一週間前。
部活もテスト休みに入り、中間に備えてお勉強をする期間になった。
学校側の言い分は正しい。何もおかしくない。
でも茅野までが、そんなスタンスで『会うのを止めよう』と言い出したのには納得いかなかった。
むしろ2人で会う時間が増えて喜ぶべきじゃないのか?
今日の帰りに一緒にうちで勉強をしないかと教室で誘ったところ、茅野の返事がそれだった。
「だって高校入って初めてのテストだよ?ちゃんと点、取りたいじゃん」
茅野は席でカバンに教科書をしまいながら言った。
「だからってテストまで放課後に一回も会わないとか、そこまでする事でもないだろ。別に毎日泊まれって言ってるわけじゃねえんだし。中学の時みたいに一緒にテスト勉強すればいいじゃん」
「ダメ」
茅野は頑 なな態度を崩さない。
「納得できる理由を言えよ」
まだ少し教室に残っている生徒を気にして茅野は声を落とした。
「……佐倉と2人っきりになるとエロいことするじゃん」
「それが理由?」
それじゃ納得いかないと思っていると、茅野は首を振る。
「違う……そうじゃなくて。そういう事した後……俺もう何にも手につかなくなるから……」
「……だから勉強に集中、出来なくなるってこと?」
茅野が頷いた。
「じゃあ、2人で会っても俺が手を出さなきゃいいの?」
「それも……ダメ。俺が……保たない」
恥ずかしそうに茅野は小声で言った。
「つまり完全に禁欲生活しないと集中できないんだな、おまえは」
「……そう」
(ってことは隠れてキスとかハグも駄目ってことかよ)
でも一緒にいると茅野もそういう気分になってたんだな、ちゃんと。
茅野から誘うことなんて殆んどないから良く分からなかったけど。
(まあ、分かった。理由は、な)
「でも、それ俺のせいじゃないよな?」
俺は意地悪を承知で言ってやる。
「……うん」
「我慢する俺のメリットは?」
「……気持ちの切り替えができる佐倉には、メリットなんかねえよ。俺のわがまま、だし」
「それが分かってんならいいよ。一週間、我慢してやるよ」
俺は机に片手を着き茅野の顔を覗き込んで、目一杯さわやかに笑ってみせた。
「……なに企んでんだよ」
さすがに茅野は笑顔に騙されはしなかった。
警戒した目で俺を見上げながら少し身を引く。
俺は引かれた分だけ近づいて、さらに笑みを深める。
「俺は一週間きっちり我慢してやるけど、お前は1日だけでいいよ。優しいよな、俺って」
「──その笑顔、怖いからマジホントやめろ下さい。……なにを1日だけなんだよ」
茅野に顔を寄せるよう指で合図する。
そして訝しむ茅野の耳に囁いた。
「1日限定で俺の言う事に、なんでも従え」
茅野の目が見開かれる。
「……なん、でも……?」
「そう。なんでも」
茅野が首を横に振る。小刻みに何度も振る。
「ムリ。無理無理無理無理無理。だってお前、絶対、無茶苦茶なこと言うに決まってる!」
「空飛んでみせろ、とか不可能なことは言わねえよ」
「そういう意味じゃない!」
「それが交換条件だ。飲めないなら、俺も我慢する必要ないよな」
だが茅野はまだ食い下がる。
「だって、でも……佐倉の言うことなんでも、なんて──」
「俺は我慢なんかせずに、今ここでキスしたっていいんだけど?」
近くに人は居ないが教室内にはまだ数人が残っている。
俺はあえて普通の声で喋ったので、部分的に聞こえたのかもしれない。
俺たちを注目する気配を感じた。
「ばっ……わ、かった……きくから。言うこときくから」
茅野が慌てた様子で小声になり、そう言った。
「オッケー、じゃあ交渉成立。せいぜい勉強しろよ」
恨めしそうな目で茅野が睨んでくるが、スマイル満開で返してやる。
俺だって一週間も茅野に触れられないなんて、大ダメージなんだ。
今すぐにでも抱き締めたくて仕方ないのに。
とりあえず面白そうだから、なんでも従えと言うには言ったが、何か考えがあったわけじゃない。
でも……従順に言うことを聞く茅野……我ながら変態大放出のナイスアイデアだ。
せっかくだし、じっくりプランを練ってやろう。
茅野のおかげで時間はたっぷりあるんだから。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そして金曜日。テストはに無事終わった。
今日から部活も再開だ。
出ても出なくても構わなかったが、テスト前は毎日行っていたことだし顔を出すことにした。
たかが一週間といっても付き合い始めてホヤホヤの一週間だ。
少しも触れることすら出来ないのはかなり辛かった。
毎日、別れ際に抱き締めて無理矢理にキスする妄想に悩まされたくらいだ。
俺にそんな思いをさせた茅野には、明日1日じっくり時間をかけて約束を果たして貰うつもりだ。
それ故に、今日ヘタに手を出せる2人の時間を作りたくなかった。
そうだ、いま俺は邪 の塊だ。
「さ、佐倉?帰んないのか」
後ろから茅野が俺を呼んだ。
俺の放つ黒いオーラを敏感に感じ取っているのか若干、声が怯えている。
「あ?部活だろ」
「え。あ、そうか。そうだな」
何故か少し残念そうに茅野が頷く。
「言っとくけど、部活終わったら真っ直ぐ帰るぞ。今ちょっとでもお前に触ったらブレーキ効かないからな。その代わり明日は朝からうちに来い」
「朝から?」
「10時までには来いよ」
「わ、分かった」
両親の予定も確認済みだ。
母親は店で父親は出張。ハウスキーパーは土日には来ない。
(フフ、フフフフフ)
顔には出さずに心の中でほくそ笑む。
そんな俺を、茅野が薄気味悪そうに見ているが構わない。
明日になったらこの鬱屈した欲求不満を、思うさま解放してやる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
翌朝9時45分に茅野はやって来た。
「佐倉、おはよ」
まだ少し眠そうだ。
でも大丈夫だ。この後、眠気なんか一瞬で吹っ飛ぶイベントが待っている。
「はよー。じゃあまず風呂場な」
「俺、風呂入ってきたよ……」
「違う。まず風呂場ですることがあるんだよ」
「すること……?」
俺は有無を言わさず茅野をバスルームまで連れていく。
そこで茅野にムースタイプの脱毛剤と新品の女性用剃刀を渡す。
「……なにこれ?」
「それで、スネ毛剃ってこい」
「はあ!?なんで!?」
「美観を損ねるからだ」
「なに言ってんのか、さっぱり分かんねえ。出来るかよそんな事」
茅野が渡したものを俺に押し返そうとする。
「茅野、おまえ自分の立場わかってんの?」
俺は逆に茅野を壁際に押し付けてやった。壁に手を着き、身長差で威圧感も出してやる。
「お前は今日、俺の言う事に絶対服従なの。そういう約束だろ、忘れた?」
「……忘れて、ない……」
「じゃあ四の五の言わずにやれよ。あと、それから」
茅野のあごに手を掛けて無理矢理、上を向かせる。
「今日は否定的な言葉は一切認めねえからな。『嫌、ダメ、無理、止めろ、出来ない』とか、言うだけ無駄だからやめとけ」
「佐倉こえぇよぉ」
茅野が怯えるが容赦しない。
「理解したの、してねえの」
「分かったよ……」
小さく呟く。
「今日は素直で利口にしてれば良いだけだよ」
そう言ってキスをする。ごく優しく。ご褒美のように。
今日の目的はもちろんエロだが、それだけじゃない。
聞き分けの良い従順な茅野を堪能することだ。
日頃なにかにつけて文句ばかり言う天の邪鬼を、飼い慣らされたペットのようにするんだ。
その様子はまるで天使だろう。
今日の俺は欲求不満の鬼だ。
変態と言われようがなんだろうが今日はやりたい事をやってやる。
茅野をバスルームに押し込めてしばらく待った。
三十分ほどして声を掛けに行こうかと思っていると、茅野が出てきた。
しきりに足元を気にしている。
「なんか足がズボンに当たる感触が気持ち悪い」
「なんだ、服着たの?どうせ脱ぐのに」
「裸で出て来れるかよ。っていうか、なんでこんな事させんだよ」
「すぐ分かる」
そして茅野を俺の部屋に連れていく。
通い慣れた場所のはずなのに、何かを警戒でもするかのように、茅野は部屋に入って来た。
よっぽど何をされるか不安なようだ。
早く安心させてやった方がいいだろう。
「じゃあ、はい。これ着て茅野」
俺は壁に掛けたハンガーを取り茅野の前に差し出す。
「……これって……」
「うん。メイド服」
それは俺が茅野に着せるため厳選し、通販で買ったものだった。
茅野に着せるためのメイド服の仔細はこうだ。
カラーはオーソドックスに基本黒地に白地のエプロン。
白い襟元にフリルの沢山付いた前開きボタン。
丈はももの中間より少し上のミニスカート。
半袖のパフスリーブ。手首にはフリルカフス。
そしてカチューシャ式のヘッドドレスもある。
ナマ足が良かったので、あえて足に装飾品はない。
もちろんミニスカとハイソックスの絶対領域コンボも捨て難い。
が、俺はナマ足派だ。マイノリティーと呼ばれてもいい。
……どっち派が多いのかは知らないが。
とにかく、それらすべて可愛らしいことこの上ない。
茅野にぴったりだと思ったわけだ。
「……佐倉……」
目を丸くしてそれを見つめた茅野が声を震わせている。
「変態っ!!」
そして、なじるように一言叫んだ。
「うん。知ってる。俺、茅野相手だと変態になんだよね」
さっきも再認識してたところだ。
「諦めて早く着ろ。俺の意思は変わんねえんだから」
「おまえ本当に佐倉?宇宙人に攫われて脳みそいじられたりしてねえ?」
「なにわけ分かんねえこと言ってんだよ」
「わけ分かんないのはお前だよ!こんなの着れるかよ!」
茅野が往生際の悪いことを言い出す。
「何度言わせんの。今日は俺の言う事きくんだろ?力づくで引ん剥かれて着せられたいのか?」
そう言って茅野を見つめると、茅野はうつむいた。
「……もう、分かったよ。でも着替えるまであっち向いてて、頼むから」
ようやく茅野も腹をくくったようだ。
俺は茅野に背を向けてやった。
「そうだ、茅野。下着、履くなよ」
「……分かったよ……このド変態」
茅野は小さく何か呟いたようだがそこは気にしないでおいた。
「……着たけど」
茅野の声で俺は振り向く。
茅野は完璧に着こなしていた。
思った以上のかわいさぶりに今すぐ押し倒して犯したくなる。
「やべえ、マジ天使……」
「これ、スースーして全然落ち着かない。それで、俺はどうすればいいの。これで満足?」
「馬鹿、これからだろ。おまえは今日、俺のメイドなんだよ。身の回りのお世話すんの。あと俺を呼ぶ時は下の名前な」
「……どうせなら敬語で名前に様でもつけてやろうか?」
不貞腐れたように茅野は言った。
茅野は自分で墓穴を掘ったことに気が付いていない。
俺もそこまでは思い付かなかった。
俺の変態道もまだまだ全然甘ちゃんだったようだ。
「おまえ天才か。それ採用!」
「え?バカ、冗談だよ」
「もう決定したんだよ。呼んでみろよ、恭司様って」
「は……そんなの……」
「拒否権無いの分かってんな?はい、敬語と恭司様」
急き立てるように早口に言って目を見つめる。
「……分かり、ました。恭司……様」
さぞかし迂闊な自分を呪っているだろう。
メイド服を着た茅野が恥ずかしさに身悶えている。
完全に狼の前の赤ずきんちゃんの出来上がりだ。
もういつ喰われてもおかしくない。
準備も整ったところで俺は次の行動に移る。
茅野の手を引いてベッドに連れて行った。
ベッドに腰掛けて膝の上に茅野を横抱きに座らせる。
スカートで跨がせるのは風情がない。
「留衣……」
うつむいている茅野の耳にキスするようにささやく。
「恥ずかしい?」
「ったりま……恥ずかしい、です」
茅野は普通の口調で喋りかけて俺に睨まれ、言葉を正す。
一々これじゃ、まどろっこしくて堪らない。
早く開き直らせた方が良さそうだ。
「お前から俺にキスして」
「……はい……」
茅野は俺の胸の辺りの服を掴んで、仰ぐように口づけをした。
少し口を開いてやると、子猫のように小さな舌でぎこちなく舐めてくる。
相変わらず、もどかしさがいやらしい。
俺は茅野の肩を抱いて引き寄せ、舌を差し込み絡ませる。
「……っ、はぁ……ふ、ぅ」
キスに弱い茅野の頬が朱に染まる。
そのまま口の中を丹念に侵した。
「は……あ、あっ。恭、司……様ぁ」
茅野が恍惚とした声を上げる。
俺は茅野の二の腕を掴み、片手で胸のボタンを外していく。
胸の切り替えしの辺りまで大きくはだけ、肩を露出させる。
ひどく、淫らな格好だ。
「恭司様……」
茅野が戸惑うような煽り上げるような目で俺を見る。
首筋と鎖骨に指を這わせると、期待するように身体を震わせた。
手をさらに進めピンク色をした乳首の先端を指先で掠める。
「ああっ……ん」
茅野の声が甘く乱れた。
両方とも強く摘んで練るように愛撫すると、堪らなくなったように俺の服を強く掴んで、胸にしな垂れ掛かった。
「やっぱおまえ、痛いの好きだろ」
「んっ……はぁ。は、い……痛いの、気持ち……イイです」
「もっと、して欲しい?」
「は、い……もっとして下さい……」
乱れる茅野と懇願する敬語がゾクゾクするほど淫靡な響きで俺に火をつける。
俺は噛み付くように首筋にキスをしながら、乳首の先を指ででしごく。
「んんぅ……あ、あっ……やぁ、ぁ……恭司様ぁ」
「ここだけでこんなに感じて、やらしいな。留衣、スカートめくって見せて」
「え……で、も……」
「見せろよ」
「……はい……」
快感に酔った茅野は思った以上に早く従順な快楽の僕になったようだ。
自らの手でゆっくりとスカートを持ち上げる。
その下はすでに反応して蜜が滴っていた。
フリルとレースの先から覗く、ソレは倒錯的でエロティックだ。
「やっぱりそんなに感じてる。もっと快 くなりたいだろ?自分で扱いてみろよ」
乳首への愛撫を続けながら言うと、茅野は操り人形のようにその手で自分を嬲り始める。
「あっ……あ、う……ん……は、恭、司様、恭司様…っ」
俺の言葉にここまでストレートに応じるなんて驚きだ。
(人のこと宇宙人に攫われたとか言っといて、自分こそ。こんなエロい茅野、見たことねえぞ)
違うと言いながらもマゾの素質があるんだろう。
やっぱり俺と相性がいいじゃないか。
「留衣、まだイクなよ」
登りつめそうそうな茅野の手を上から押さえ、行為を中断させる。
「く、んぅ……っは、恭司様……?」
唐突に遮られ、茅野は切なそうな瞳を俺に向ける。
「舐めて、留衣」
茅野から自発的に咥えた事はあっても、俺が言ってさせた事はない。
「はい、恭司様」
しかしそう命令されて、やはり茅野は当たり前のように従っている。
ある意味、俺よりこのプレイに嵌 り切っている。
茅野は俺から降りると床に膝をついて、俺の股間に舌を這わせる。
それから口に含まれ、ぬるりとした湿った粘膜に包まれる。
鈍痛のような快感がジンジンと身体に広がっていく。
俺は肩まではだけたワンピースの胸元に手を差し込み、堅くなったしこりを乱暴に抓った。
「んんっ、ふ、ふぁ……んっ」
咥えながら茅野が身悶えた。
その腰が、自分ではどうしようもないように揺れている。
「我慢できないんなら、俺のを舐めながら自分でしてもいいけど?」
それは強要ではなく、あくまで提案として言ったつもりだった。
そこまでするなら見てみたい、レベルの発言だった。
そして今。
茅野は上半身をほぼ裸にされ、俺のものを咥えながらスカートに下から手を差し入れ、自分で自分のものを扱いている。
その眺めは、とんでもなく卑猥なものだった。
させている俺が『これなんてエロゲ?』と思ったほどだ。
そんな茅野の痴態を目前にそうそう我慢できるはずがない。
「留衣、もう出る。顔、離せ……っ」
だが茅野は口を離さず、むしろ舌を使い結局そのまま飲み干した。
同時に茅野もイったようだった。
口を押さえて肩で息をしている。
「……どっちがド変態だって?」
俺は茅野の口と下半身を拭ってやりながら嘲笑する。
「──俺。です……ごめんなさい」
茅野は目を伏せ、まつ毛を震わせてそう言った。
完全に茅野の新しい扉が開いたようだ。
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