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ご主人様とメイドちゃん3
拘束していた茅野の腕を解いて自由にしてやる。
自分と茅野の下半身を拭いてやってから、茅野の両手を良く見てみる。
タオルを巻いていた所が少し赤くなっていた。
「これ痛てえ?遣り過ぎたな。ごめんな、茅野。冷やしたりする?」
茅野の腕をさすりながら俺は聞く。
「大丈夫です。ただ赤いだけで痛くは……」
茅野の徹底ぶりに俺は思わず笑った。
「もう、いいよ。メイドごっこは終わりで」
「え?終わり?」
茅野が惚けたように繰り返す。
「そう、終わり」
「……わかった」
分かったと言いつつ切り替えに時間が必要なのか、何かを考え込むように茅野は黙った。
そんな茅野を抱き寄せて額にキスをする。
両手の戒 めのせいでずっと俺に触れなかったせいか、珍しく茅野が俺の背中に腕を回して抱きしめ返し、擦り寄ってくる。
「今日の茅野、可愛いかったな」
「忘れろ。もう、しないからな」
俺の腕の中で可愛い仕草とは裏腹に低い声で茅野が答えた。
「忘れるわけねえじゃん。それにアレ、お前側に素質がないと出来ないような、相当難易度高いこと平然とやってたぞ」
「そんなわけねえだろ。人をドMみたいに言うな」
「そう言ってんだよ。お前ドMだろ」
「……違う」
「まあ俺はどんな茅野でもいいけど」
「だから違うって。お前の変態と一緒にするな」
もうほとんどいつもの茅野だ。俺の腕の中から出て行かないのは、まだ余韻が残っているからか。
俺は茅野が大人しくしている内に唇にキスをした。
「ん……んぅ」
茅野は素直に甘えた声で応える。
ひとしきり甘く絡んで顔を離す。
「なあ、ひとつ聞きたいんだけど」
「……なに」
俺が言うとキスで酔った、まだ夢の中のような茅野がぼんやりと虚ろに答える。
その様子を見て今あえて言うことじゃないような気がしたが、言いかけてしまったし、気になるので口にする。
「お前、期末つぎのテストの時はどうすんの?」
「………。」
「このままだと、また俺に一週間お預け喰らわすんじゃねえの?」
茅野は固まったまま動かない。
「そしたらまたメイドだぞ。いや、今度は別のがいいかな」
「……なんとか、する」
茅野が眉間にしわを寄せて答えた。
自分でも難しいのが分かっているようだ。
「なんとかって具体的にどうすんだよ」
茅野はうーんと唸って考え込んでしまった。
だがいいことを思いついたとでもいうように顔を上げて嬉しそうな声を上げた。
「分かった!要は慣れ、だ」
「……は?」
なにかが腑に落ちたような、妙に晴れ晴れとした表情の茅野に俺は言ってやる。
「お前、自分がなに言ってるか、ホントに分かってんの?」
「なんで?分かってるよ」
「じゃあ俺がちゃんと言葉にしてやろうか?お前は次のテストまでに、エッチした後でも平気で勉強できるくらいソレに慣れる。つまり慣れる程、たくさんセックスする──って言ってんだぞ」
「え?……え?」
「そういう事だろ」
「そんな………そうか………」
唖然としながらも茅野が徐々に理解したようだ。
(やっぱり自分の言った意味、理解してなかったんだな)
茅野から言うには飛躍しすぎた内容だと思った。
「お前がそう言うなら、もちろん俺はいくらでも協力してやるけどな」
自分でも意地の悪いと感じる笑みを浮かべながら、腕の中の茅野にそう、言ってやる。
茅野は急に自分がどういう状態でいるのか思い出したように慌てて俺から離れる。
「なんなら今すぐ実践しようか?」
からかい半分で逃げた茅野の腕を掴み、押し倒す。
「今日は、もう、いっぱいしたじゃん……」
「その割には、また恥ずかしがってる。全然慣れてない証拠だろ」
まだ着たままのメイド服の裾を割って太ももに手を這わせる。
茅野が震えて膝を閉じた。
そんな反応をするから、俺の欲望がまるで底なし沼の様に煽られるんだ。
「早く慣れたいんだろ」
茅野の耳に囁いてそのまま首筋を舐め上げる。
「佐倉ぁ……」
その声は俺は非難しているようだが確実に甘さを含んでいた。
もうだめだ。また火を付けられた。
「もう、何回したら気が済むんだよ……」
そんなのは俺が聞きたい。
お前は何回俺を煽ってくるつもりなんだ。
「本気で嫌ならそう言いな。ちゃんと止めてやるよ」
既に開かれている胸元に舌を這わせながら俺は言う。
「ず……るい、そん、なの」
もう快感に身を震わせて、茅野が咎めるような口調で言う。
「こんなにすぐ感じといて、ずるいも何もないだろ。拒み切れないお前が悪い」
茅野の紅く膨らんだ乳首を齧りながら孔をいたぶる。
先刻まで嬲られていたそこは、ぐずぐずに熟れた果実のようで簡単に受け入れそうだ。
「お前平気そうだし、もう挿れていい?」
「あっ……や……ちが、う……やじゃ……ない。俺も、欲しい。なか、ジンジンして……熱い……」
してる最中は随分慣れたけどな、とふと冷静に考える。
そのギャップが、エロさに拍車を掛けて俺を煽ってるんだけれど。
メイド服は全部脱がせて後ろを向かせる。
(そういえば正面から以外は初めてだな)
茅野が気付いているかは分からないが。
「この体勢、キツくねえ?」
「ん、は……ぁっ。へい、き」
背後から抱くと、前が色々触れて俺は楽しい。
茅野はさらに乱れて苦しそうに喘いでいるが。
「あ、あっ、でも……ゆっくり、するの、や……だ……っ」
「どっちの嫌だよ、それ」
「っ……擦れて……すご、い……から……っ」
「ああ、イイ方な」
なら、止めてやらない。
そのままゆっくり擦り付けるように抽送を繰り返すと、茅野は泣き声を上げながらイってしまった。
俺もその声に堪らなく興奮したので、その後は容赦なく突き上げ、茅野の中で身を震わせた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
息の上がった身体を落ち着けて、茅野を抱きしめる。
気が付くと、もうとっくに夜になっていた。
今日は本当にヤリ倒した一日だった。
もう流石にする元気はお互い残っていない。
ここにきてようやく、ただ抱き合っていられる状態まで落ち着いた。
そうなってみて、そういえば恋人同士になったんだったなと改めて思う。
散々エロいことをしまくった後で何だが、だからこそ、そう思った。
付き合ってすぐテスト期間になり、いちゃつくヒマを茅野がくれなかったから欲求不満ばかりが募っていたが。
これからは茅野と今までのように過ごしてもいいし、いくらでも優しく甘やかしてやっても、苛めてやってもいいわけだ。
(そう考えたら出来ることが増えた分、友達より断然いいじゃん)
結局、次のテストまでに茅野が慣れるかどうかはまだ分からないが。
ほんの一ヶ月前には茅野と、こんな関係になることすら考えていなかった。
付き合ってどうなるのか正直よく分からなかったが、きっとこれから少しずつ変わってくんだろう。
友達と恋人の境界線。その境目がどこにあったか俺にはよく分からない。
でも目の前の茅野は一ヶ月前の茅野とは違う。
もっとずっと愛おしい存在だ。きっかけは俺が作ったが、それに気づかせてくれたのは茅野本人だ。
それとなく抱く腕に力を込める。
「佐倉?」
気づいた茅野が不思議そうに俺を見つめる。
「好きだよ、留衣」
それを聞いてポカンとした茅野は、次の瞬間には首から上を真っ赤にして俺の胸に顔を埋めてしまう。
あれだけ大胆な行為を散々した後で、たったこれだけのことに、ここまで恥ずかしがる茅野が可愛くて仕方ない。
俺はありったけの愛情を込めて、茅野の頭を優しく撫で、額にキスをした。
その時しがみついた茅野が何かを呟いた。
『俺も好き』
そう聞こえたような気がした。
でも尋き返しても、もうきっと茅野は答えてくれないだろう。
だから、そう言ったことにしておこう。
茅野は言葉で表現するより態度の方が余程分かりやすいから。
それは俺が一番良く知っているから──。
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