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第30話

「早く選ばれるってことはそれだけ将来を期待されているってことだからね」 「期待…」 病気のせいで誰も自分に期待する人はいない… けど、ここは、期待されるものが自分にあって必要とされてるなら… 「働いても…いい」 ぽつりと呟く重大な言葉… 「それを最終結論として受け取っていいのかな…?」 すかさず確認するコウヤ。 「…うん」 「成長すれば、今日の撮影のようなことを主でおこなうようになる。辞めたくなっても20才までは辞めれない…それでも続けられる?」 コウヤはさらに厳しく聞く… 「やる。ここしか…オレを必要としていないから…」 頷いて決意する。 こうして、若干九歳にしてBOUSの一員になったアキラ…… 当然、最年少のアキラは、BOUSで可愛がられ…アキラが唯一、他人とコミュニケーションをとれる場となる。 頻回に行っていた健次の病院には、あれ以来行こうとはしなくなったアキラ。 心配した健次が電話をかけてきた時だけ会いに行くことにする。 自分という存在は邪魔者… どんな些細なことでも健次に迷惑はかけたくなかったから… (それに…けんじさんに内緒で淫らなバイトをしている自分を…あまり見せたくない…) BOUSに身をおいたまま成長する。 相変わらず単独で自由気ままに生きるアキラ… 徐々に進行する不治の病を抱えているとは思わせない奔放な生き方で… 新たな出会いとともに物語は進んでいくのだった――。 《軌跡への追憶②》終。

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