1 / 56

第1話

 うわ、死んだ。  頭に浮かんだのはそんなことだった。  空が近い。視界いっぱいに吐き気がするほどの青空、そして全身がプレスされたかのような衝撃。ぐしゃり、ばしゃり、そんな音が聞こえたのは、自らの身体からだった。  最悪。早く意識とべ。  眼前は血の海。確実に、俺の。最悪。次の瞬間には暗闇が訪れた。俺の人生はここで終焉。終わり。幕が下ろされる。アンコールはなし。終わり、ぱたり。死ぬ前に考えることなんて、所詮そんなことしかない。  とにかくこれが、これからの俺の人生を大きく変えた日の出来事。

ともだちにシェアしよう!