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ピロートーク

「ん……」 鉄平は夢も見ないような深い眠りからゆっくりと目を覚ました。 体はギシギシと軋むが、さっぱりしている。 眠っている間に志狼が清めてくれたようだ。 寝巻き代わりのスウェットを着せられていた。 「しろう?」 鉄平は一人で布団に寝ていた。 ぼんやりした頭で志狼を探した。ヨロヨロと起き上がろうとして、ヘタっと倒れた。 「わぁ!」 「タマ。起きたのか」 「うん」 鉄平の声に気付いて、志狼が襖を開いた。 くったりとへたったままの鉄平を抱き起こす。 「まだ休んでろ」 胡座に座り、鉄平を抱きかかえた。 「無理させたからな。体、キツくないか?」 「うん。大丈夫」 鉄平は志狼に甘えるように、身を任せた。 「タマ」 「うん?」 志狼が片手に持っていた写真を鉄平に見せた。 「あ! これ……」 玉山家の家族写真だ。 「お前の家の物は、闇金の奴らに全部売り飛ばされちまってたが、これだけ部屋の隅に落ちてたんだ」 鉄平は両手で写真を持って、家族を見つめた。 少し破れて、薄っすら靴跡が付いていた。 「お前の家族も見つけてやる。大丈夫だ」 鉄平の心を読んだように、志狼が力強く告げた。 「ありがとう。しろう」 鉄平は笑って、志狼を見上げた。 そして、ずっと気になっていて聞けずにいたことを聞いてみた。 「あの……しろうの、家族は?」 「……ああ」 志狼はトルコブルーの瞳で鉄平を見つめて答えた。 「母親は俺を産んだときに産後の肥立ちが悪くて、亡くなった」 「え……」 「親父は刑事だったんだが、俺が8歳の時に殉職した。17までは祖父と二人でこの家に住んでた。心筋梗塞でじじいが死んで、それから一人だ」 鉄平は目を見開いた。 「そんな……そんなの……」 大きな瞳にみるみる涙が溜まって、コロリと溢れた。 「おい、泣くな。昔の話だ」 志狼が苦笑しながら、親指で鉄平の涙を拭う。 「だって、だって……寂しくないの?」 「今はタマがいるからな」 鉄平は志狼の首にぎゅうと抱き着いた。 「……ありがとうな。タマ」 志狼の為に泣く鉄平の背中を、優しくあやすように撫でた。 鉄平は志狼にしがみついて、ひっくひっくと泣きじゃくった。 子供をあやすように、志狼は鉄平の背中をぽんぽんと優しく叩き、鉄平を抱いたまま、ゆらゆらと揺れた。 揺りかごのような心地良さに、泣き疲れた鉄平はいつしか寝息をたてていた。 「おやすみ、タマ。」 志狼もつられるようにアクビをして、鉄平を抱いたまま布団に横たわった。 今度は二人一緒に、夢の世界へと旅立っていった。 end.
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