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番外編:終
「ひっ、や…あっ!」
ベッドに投げられ、素肌を曝け出した躰。縛り上げられた腕。さっきは優しくゆっくりと与えられていた愛撫も、今では嵐のように俺の躰を翻弄していた。
舐められ、時に歯を立てられた胸の突起は真っ赤に腫れてジンジンと痛むのに、それでも躰は彼の触れた場所に熱を溜める。
「くり、くりはらさっ、や…やだ…」
段々と触れる場所が下へと下がっていく。
徐々に増える恐怖心に躰が震えるが、いつもなら止めてくれるその手を、栗原さんは止めてくれなかった。
「あっ!!」
下着の下に手が滑り込んだ。硬くなったソコを無遠慮に握りあげられる。
「ひっ!?」
その刺激が過去を思い起こさせ躰が跳ね上がる。無意識に逃げようとした躰を、腕を、強く引き止められた。
「いま、誰が君に触れてるのかちゃんと見ろ!」
「やっ、」
「光っ!!」
頬を捕まれ、無理矢理目を合わせられた。ゆらゆらと頼りなく揺れていた俺の視線は、向けられる強い視線に捕まり動けなくなる。
「見ろ、光。いま、君に誰が触ってる?」
「ひ…、う、ふぅ」
怖くて怖くて仕方なくて、瞳から涙が溢れた。それを、懐かしい優しさがぬぐい取ってくれる。
「ひかる」
「うぅ…」
「光、俺を見ろ」
「くり…はらさ、」
「そう、今君に触ってるのはアイツじゃない。俺だよ」
「栗原さん」
シュッ、と腕に巻かれた紐を解かれ栗原さんに抱きついた。
「栗原さん…栗原さんっ、」
「うん」
「くりはらさっ、れを…すて…な…でっ、おねがっ」
「ひかる」
「おねがっ、なんでもする…ひっ、な…でも、するからぁ」
「馬鹿野郎ッ」
「んんっ」
頭ごと強く引き寄せられ…だけど優しく、口付けられた。
本当は、ああいう綺麗な人こそこの人の隣に相応しいのかもしれない。分かってる。けど、それでも、やっぱりこの人を俺は手放したくない。誰にも、渡したくない。
「先に手を離そうとしたのは光だろ」
「ごめっ、ごめ…なさ」
「約束してくれただろう? 俺を助けてくれるって。俺を救い出してくれるって」
「栗原さんっ」
「君しかいないよ。俺を救えるのは、君しかいない。俺は光じゃないと駄目だ……二度と勝手に手を離そうとするな」
「んっ!」
再び重ねられた唇。滑り込んできた舌に、思考を蕩けさせられる。
「ぁ…ン、」
「まだ怖いか?」
「ンンっ、あ、ンあっ、あっ」
ぬるぬると、俺のソレに絡まった栗原さんの指が動く。
強く握りこまれたときは怖かったのに、今の刺激は生まれて初めて受けるもので…不思議と怖くなかった。それどころか、気持ちよすぎて腰の辺りまでジンジンしてきて、
「ぁあっ、や、」
「怖いか?」
「あっ、足りな…あ、もっと、ン! もっと…さわって」
栗原さんの躰を挟んでいた足をもじもじと動かし、つま先を彼の腰に滑らせる。と、
「まさか煽る余裕があったなんてな」
「へ…?」
自分がした行動が一体どんな作用を生んだかなんて、この時の無知な俺は全くわからなくて…。
「くり…はらさ…?」
「今日の俺にトラウマを持ってくれるなよ?」
「え? ひゃっ、あああっ!!」
俺は童貞処女から…ハリケーンのように処女だけ失い見事、童貞非処女という稀な存在になった。
引越して、同棲して、初めて食べた食事はカップラーメンでした。
END
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