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11 スタート

「ごちそうさま。おいしかった」 「よかったよ……。少し話したいことがあるんだけどいいかな」 キッチンに戻ってきたコンチは真剣な顔をしていた。数年前家族のことを話して切れた時の顔と同じ顔だ。 「うん、いいよ」 「高校の時一方的に別れ話切り出しただろ?あれさ、巻き込みたくないとかカッコつけたこと言ってたけどほんとはさ、怖かったんだ。すっげぇ怖くって、亮太を不幸にしてしまうんじゃないかって怖いし、もっとちゃんと言うとこんな面倒くさいやつ嫌だ、つきあっとられん、別れるって切り出されそうで怖くってさ。じゃあもうこっちから~って亮太の気持ちも考えないで勝手にしてしまって、ごめんな。」 それからコンチはちゆちゃんを引き取ることになった経緯を話してくれた。 「当時付き合ってたやつとちゆを引き取る話でもめて別れたんだ。それから、ああもう俺は一生一人でいた方がいいんだって、ちゆはいるけどさ一人じゃないけどさ……思っちゃって」そう言って寂しそうな顔を見せた。 「話、うまくまとめられなくてごめん」 アパートは静かだった。静かに時が流れていた。 それから、俺はコンチに大学に入ってからの人生を包み隠さず話した。ショーパブのダンサーの話も、コンチと別れた後真剣に誰かと交際することに挑戦しなかったことも、包み隠さずに。 「こうやってさ、一度はうまくいかなかった人間がさ二人再開できたのにはさ何か理由があるのかも…、とか希望的すぎるかな…」 「亮太、あの時傷つけてしまってごめん…もしできるなら亮太ともう一度やり直したい」 「焦らず気長に行こう。俺達らしく。幸せに…幸せになろうね。三人で」 「もちろん」

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