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九の息子である九九の元へやってきた意地悪お兄さん狐。 旧知の仲である優男お兄さんに甘酒を振る舞われると、ぴちゃぴちゃぴちゃぴちゃ、意地汚くがっつきます。 「うん、確かに彼のようだ」 ちなみに人間の優男お兄さんに意地悪お兄さん狐の言葉は理解できていません、ただ「コンコン」鳴いているようにしか聞こえていません。 「だけどマズイことしたでしゅ、お前」 「あ? どーいう意味だ?」 「とと様の元からこっそり逃げてくるなんて。それこそ、とと様にガブリ、されるかもでしゅ」 甘酒でハイになりつつあった意地悪お兄さん狐の顔色が一気に悪くなりました。 この姿になって一ヶ月くらい経ったか。 九は俺を抱きっぱなし、たまにぱっくんしたり、過剰な毛づくろい、飽きもせずに「可愛い可愛い」と狂ったみたいに連呼。 狐になった俺に、あれやらこれやら、してきそうな勢いで。 いやいやいやいや、さすがに無理だぞ、おっかねぇ、んなことしてきやがったら動物愛護団体に即訴えてやる。 「その姿でとと様にお尻貫かれたでしゅか?」 「ぎゅーーーッッ!!」 「九九、不安がっている相手をからかってはいけないよ」 「きゅるるん」 晴着姿の九九は甘酒を嗜む優男お兄さんにぴったり寄り添いました。 そう、今は新年を迎えたばかり、どのお宅も目出度いお祝いモードに包まれているというのに。 食べられるかもしれない、この狐姿でお尻を貫かれるかもしれない、不安、恐怖。 あやかし伴侶と新年を一緒に過ごすことができない淋しさ。 九と一緒にいたくないけれど、一緒にいたい意地悪お兄さん狐、どうしようもなくってコンコンしておりましたならば。 「あらあら。可哀想に。余程アレに虐げられておいでなのでしょう」 聞こえてきたお色気ボイスにぎょっとしました。 優男お兄さんのおうちに、まさか、九の元嫁である夜叉小町がいるなんて夢にも思わず、襖をすらりと開いてやってきた雪鬼女をただただ凝視しました。

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