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12-親ぎつね溺愛めろっめろ意地悪お兄さん堪らず家出!?

『僕の欠片を一度にいっぱい得たから……ああ、何てかわいい狐、食べちゃいたい!』 三日三晩、お腹ぱんぱんになるまであやかし成分を大量抽入されて、完全狐になっちゃった意地悪お兄さん。 あやかし狐の九はたいそう喜びました。 目に入れても痛くないくらいの可愛がりっぷり、いえ、時には口に入れても構わないくらい……。 「ぎゅーーーーーッッ!!」 どでかい化けもん狐の姿となった九にぱっくんされ、お口の中に閉じ込められた意地悪お兄さん狐、堪らず悲鳴を上げます。 我に返った九に吐き出されて、ごろごろり、我が家の床に情けなく転がると、よだれべしょべしょな体で伴侶を睨みつけました。 「てめぇなぁ! 本気で俺を喰うつもりか!?」 一瞬にして人の姿となった九、雪色の髪を背にさらりと滴らせ、今にも瞳孔がハートマークになりそうなデレっぷりでよだれべしょべしょ伴侶を抱き上げます。 「あんまりにも可愛いから、つい、ね」 「生きた心地がしねぇ! ちったぁ我慢しろ!」 灰色毛で愛想のない、ちっとも可愛げのない意地悪お兄さん狐に頬擦りの嵐。 両腕の中から逃げたそうにしている彼をいとも容易く抱っこ束縛し、見目麗しいお顔立ちは始終緩みっぱなし、透き通るようなきめ細やかな肌はほんのり紅潮しっぱなしで。 「可愛い。僕の狐」 九の奴、完ッ全……頭のネジが飛んでやがる。 このまま一緒にいたらマジで喰われるかもしれねぇ。 その日の昼下がりのこと。 化けもん狐となった九がお昼寝タイムに入り、もっふもふな懐で添い寝するフリをしていた意地悪お兄さん狐、居心地のいいぬくぬく寝床から断腸の思いで這い出して。 「悪ぃな、九」 新年早々、藁葺き屋根のおうちからトンズラこきました。 「それでここへ逃げてきたでしゅか、ブス狐」 「ブス言うなッ俺でも傷つくわッ!」 「この狐、本当に彼なのかい、九九」

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