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「可愛い」
灰色狐の鼻先にとまった赤トンボ。
「翅が夕日に透けて茜色になってるね」
そう言う白狐の毛並みも西日にほんのり艶やかに染まっています。
鼻先に赤トンボをお間抜けに乗っけたまま灰色狐は見惚れます。
暮れなずんでいく夕空の下、涼しい風に指通りのいい毛を靡かせて凛と佇む白狐にどきどきしちゃいます。
「見惚れてるの、お嫁さん?」
何だっけ。
何かいろいろ忘れてるよーな気がする。
「おいで? 僕と愛し合おうね……?」
でも、恐ろしく別嬪なこの狐にくたばりそうにそうになるくらい求愛されて、延々と種付けされてたら、ぜーんぶどうでもよくなるっつーか。
俺はこの好色絶倫別嬪狐の嫁。
山に棲む獣。
それで合ってる……よな?
宵闇と夕日がせめぎ合う空の隅っに華奢な三日月。
「僕の子種……君のなかで育たないかな……?」
立派な藁葺き屋根のおうち、座布団の褥を下にしてまたパコパコ交尾に明け暮れる白狐。
「ねぇ……? 僕と君のあかちゃん、それはそれは可愛い小狐だろうね……?」
障子に囲まれた板間の真ん中、白狐の甘い呪いじみた囁きに魘されるように喘ぐ灰色狐。
「う……産む……お前のあかひゃんっ……きつねのあかひゃんつくるっ……」
「うんうん。よく言えたね……いいこだね……ご褒美をあげようね……?」
「んぎゅぅぅっっ……ご褒美ぃ……っっどぷどぷぐるぅっっ……もれひゃっっ……もれひゃぁ……っっ」
狐尻と狐男根の結合部から泡汁になってとろとろ溢れてくる獣精子。
「せっかくのご褒美を無駄にして、悪いこだね……お仕置きしてあげる」
「んぎゅぅぅーーーー……っごめんなひゃっ……お仕置きぃっ……お仕置きほひぃっ……お仕置き種付けほひぃぃぃ……っっ……!!」
ご褒美お仕置き、どっちにしろ繰り返される種付けにいつの間にやら気を失った灰色狐。
「……おーい……」
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