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第22話 ※
「あ…、っあ……ん」
零れる吐息は自分のものであることを疑うくらい色っぽい。後孔が泰志の指を受け容れ始めていて、透明な体液が自身を伝っていく。
横からは相変わらずシャーペンがさらさらと紙の上を走る音が聞こえていた。
(BLって、こんなことまでするの……?)
熱心にスケッチをしている廉佳を見る限り、BLには彼をそこまで魅了してしまうほどの『何か』があるのだろう。それが何なのかは全く見当も付かないが。
「センパイ、すっごく可愛いよ」
今日は泰志の様子もどこか変だ。『可愛い』なんてさっきまで言ったことなかったのに。
まさか泰志までBLにハマってしまったのだろうか。欲情を湛えた瞳の弟は、まるで別人のようだった。
「泰志、指もう一本入りそうか?」
「うん、大丈夫」
「は、ぅっ……やぁ、ぁあアあっ」
(そこだけで会話してないで、僕の許可も取ってよ……)
「ね、ぇ――んっ、や…んぁ」
甘ったるい声に邪魔されて文句の一つも言ってやれない。誰の身体を好き勝手していると思っているのやら。
「指が三本入ればもういけるぞ」
「……廉にぃ、詳しすぎない?」
「俺達からすれば常識だから」
「ふーん、何か凄いね~」
泰志はそんな会話をしながら感心しているが、千世はそれどころではない。自分の意思に反して小っ恥ずかしく喘いでしまうし、それがさらに羞恥を煽っての繰り返し。いっそのこと理性が飛んでくれればマシなのに。
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