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第28話
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頬が熱い。いや、熱いのは顔全体だ。
目を閉じているのに眩しくて、血の色が透けて見える。うっすらと紅あかい世界で、深い眠りに就いていた。
身体が――特に下半身が悲鳴を上げる中、千世は泰志の声に呼ばれて重い瞼を開けた。
「あ、千世にぃ起きた」
「泰志……ここは…僕の部屋……?」
「そだよ。昨日千世にぃが寝ちゃったからここまで運んできたんだ」
千世の顔を覗き込んでくる泰志の距離がやけに近いと思ったら、人のベッドに勝手に入り込んで添い寝しているではないか。それ自体は珍しいことではない。が、彼の顔を見た一瞬で昨日のことを思い出してすぐに布団を頭からすっぽりと被った。
(どどどどど、どうしよう! どんな顔して話せばいいんだろう……)
あんな醜態 を晒した矢先、のうのうと顔を合わせるにはきまりが悪すぎる。
普通にお礼を言えば良いのか、昨日はやり過ぎだと怒ればよいのか。何パターンか頭の中でシミュレーションしてみるが、どの結果も泰志が軽々しい態度で『でも昨日の千世にぃ可愛かったよ』と言ってくる姿しか浮かばない。自惚うぬぼれているのではないが、泰志が言うことは想像が付くのだ。
「えっと……昨日は、その……」
布団で顔を隠したまま次の言葉を考えていると、いきなり視界が明るくなった。
防御力など皆無の盾を奪われたところで状況はさほど変わらない。千世は今度は枕を引っ掴んでそこへ顔を押し付ける。
「顔見せてよ。昨日の千世にぃ可愛かったんだからさ」
ほら、当たった。
「やだよ。恥ずかしぃ」
「そんなこと言ってると、無理やりにでもこっち向かせちゃうぞ~」
「ぅわっ! な、何して――」
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