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第53話 ※

 不意に耳に滑った感触がして、首筋から背中にかけて電流のようなものが走り抜ける。  耳朶(じだ)を甘噛みされ、耳孔に舌が侵入してきて千世の身体は遂に力を失った。 「ぁふ…ぅ……あ、ッ」  胸への悪戯を施されたままで耳まで責められては、千世の性感の容量を軽く超えてしまう。  くたりと廉佳に背中を預けていると、愛撫はさらに激しさを増した。 「んぁあっ、ゃ、あ……ああァ」  きゅっと抓られたかと思うと、そのまま引っ張って、ぱっと手を離す。  先端を指の腹で擦られたり、焦らすようにそっと触れられたりして、だんだんズボンが窮屈になってきてしまった。 「気持ち良いだろ? 抜いてやろうか」  鏡越しに全てを見ていた廉佳が、耳元で甘い誘惑を囁く。  だがそんなことまでさせる訳にはいかない、と頭を小さく横に振った。 「遠慮しなくて良いんだぞ。千世が気持ち良くなってくれてんの、嬉しいし」  それはBLのモデルとして、という意味だろうか。可愛いと言うのは、自分が絵になるから?  想いを馳せる人に触られてどうしようもなく感じているのに、廉佳の気持ちは千世に向いていない。一方通行の歯がゆい気持ちは、出口を求めてだんだん喉の方へと登ってくる。 「ほら、お前は何もしなくていいから」  ズボンのホックを外され、その下に廉佳の手が潜り込んでくる。彼の温度を下着越しに感じて、千世の体温も一気に上昇した。  その手をどけようとしても身体が思うように動かず、焦っているうちに下着をずり下ろされてしまう。

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