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第54話 ※

「ッ――見ちゃだめ!」  思わず開けてしまった眼に飛び込んできたのは、無様に勃ち上がった自分の昂ぶりだった。 「あの、ほんとに……やぁぁああッ」  自身が廉佳の手に(じか)に収まっている。泰志に触られたときも腰が抜けそうに気持ち良かったけれど、好きな人にこんな風にされて神経が焼けて溶けそうになった。 「あ、ぁ――んぁあ…あ、ひ」  左の乳首を弄りながら自身を擦られ、千世は息も絶え絶えに悶え続ける。  上下の快感が重なって、乳首は感じるところだと頭に上書きされてしまいそうになる。  いや、もう胸で得られる気持ちよさをたたき込まれてしまった。手遅れだ。 「イきたかったらイっていいからな」 「……ぃや、やだ……もぉ…やめ、て」  彼の手の中に放ってしまうのが嫌で、初めて発した心からの拒絶の言葉を、しかし廉佳は無視してしまう。

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