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第4章 第169話
「千世にぃ、俺緊張で心臓破れそう……」
「お、おおお落ち着いて泰志。きき、きっとダイジョウブだよ、今まで頑張ってきたんだから」
「――……自分より緊張してる人を見ると落ち着くのって本当なんだなぁ……」
泰志の部屋で翌日の準備をしていた二人は、大きな試練を抱えていた。いつもは飄々 としている泰志ですら冷や汗を流す有様だ。
正確には試練を抱えているのは泰志の方。千世は立会人でしかないのだが、彼の緊張が移ってきて喉がカラカラだ。
二人の神経がなぜこんなにも張り詰めているのかというと――
「千世にぃは受験の時どうしてた?」
「えーっと……僕もすごく緊張したし、自分がやってきたことだけで足りるのか心配だったよ。でもいつまでもうじうじしてる訳にもいかないから、当たって砕けろ、みたいなところはあったかな」
「俺砕けたくないよ~」
そう、泰志の入試が明日に迫っているのだ。
先日のイベントが終わってから時はあっという間に流れ、もう厚手の上着がほしくなってくる頃。受験シーズンと呼ぶには少し早いが、推薦入試を受ける時期としては一般的だ。
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