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花火大会(R18)

    「ん、んん……はっ…………ゃ、んんっ」      突然のキスに反応が遅れ、すぐさま舌を根元まで絡め取られる。首を振って逃げようとするもそれは許されず、歯茎をなぞられ上顎をくすぐられる。たったそれだけ、たったそれだけのことなのに、奥がじんわりと主張する。彼との行為に慣れきったこの体は、無意識に次を期待するらしい。     「んぅ……んー、んーっ………はっふぁ、ぁ…んんっ」      気付かぬうちに、そんな節操のない体になってしまったのだと、思い知らされる。しかし、息継ぎさえまともにさせてもらえない深いキスの前では、それについて何かを感じる前に快感の波に飲み込まれる。  苦しくなって訴えても、すぐには息をさせてもらえなくて、やっとできてもまたすぐに口を塞がれる。酸欠で頭がぼーっとし始めてやっと、長い長い接吻が終わる。     「はぁ、はぁ………………へ?………ぁ、」      ろくに力も入らず、立っているだけでやっとな体がくるりと回される。頭に疑問符が浮かんだ時にはもう遅く、俺のモノは既に彼の手の中だ。     「んんっ……や、め…ぅ…………はぁ、そと……だぞ」      彼が背後から絶妙な力加減で俺のモノを梳きあげる。  快感に呑み込まれそうになりながらも残っていたひとかけらの理性が必死に声を上げる。     「いいじゃん。人もいないし」 「来るかもしれないだろうがっ」 「大丈夫大丈夫」 「何をこ――――」      根拠に、という言葉は出ないで終わった。口の中に怜の指が割り入ってきたのだ。今度は指で舌を捕らわれ、喋る自由を制限される。     「んんッ……あぅ、うぅ…………あえっあえおっ」 「噛まないでね。噛んだらひどいよ?」      俺のモノを追い上げていた指が、今度は後ろの蕾をつつく。抵抗すべく必死に踠くが、ろくに力も入らず、さらに後ろから抱きつかれるような今の体制では、大した抵抗にもならない。そして彼の指は、俺の抵抗を無視して遠慮なく入り込んでくる。     「ふっ……ううぅ…………ひあッ…ぁ…………」    声を抑えようにも、口内を彼の指が蹂躙しているため、我慢しきれない。せめてもの抵抗に彼を睨むが、その視界もすぐに歪む。     「挿れるよ」 「やっ……ぁぁぁッ…………ふぅぅ、ぇ…んあッ」      口から彼の指が出ていくと同時にイイトコロを思い切り突かれて、我慢なんてできるわけがない。前立腺を刺激され、奥を突かれて、口内にあった手で今度はカリを刺激されて。  襲いくる快感に、外だとか中だとか、人が来るかもだとか、そんな残りカスのような理性が追い出される。     「ぁッぁッ……も、イくッ、イきたッ………ぁあ…ッ」 「いいの?外なのに」 「ぇ……?、ぁ……ダメぇ………もぅイくッイくぅ」 「ふふっもうわからないか」      怜の言葉も届かない。残るのは快感と、中で暴れ回る吐き出したいという欲望。  あとちょっとでイきそうだという時に、再び彼に唇を塞がれる。舌が入り込んで、絡め取られる。ただでさえ荒い呼吸を遮られて涙が溜まり、奥を突かれて涙が零れた。            地面には2人分の欲が吐き出されている。怜がテキパキと後始末をしている様子をぼんやり眺めているうちにだんだんと意識がはっきりしてくる。  ――――あぁ、やってしまった。外で、いつ人が来るとも知れない所で、こんなことを。     「……ありえねぇ………………」 「顔真っ赤。いいじゃない、誰にも見られなかったんだから」      くすくす笑いながら答える彼に無性に腹が立つ。     「そうゆう問題じゃない!」 「えー?感じまくってたくせに」 「うるさい!知らない!」 「もっかいする?」 「絶対やらないっっ!」    人気のない神社で、俺の声はやけに大きく響く気がした。       (謙哉〜こっち向いてよ〜) (………………) (イカ焼き食べないの~?) (……食べる…………ぁ、花火) (綺麗だね) (うん) (来年も一緒に見ようね) (……見るだけ、だからな)

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