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朝の目覚めは頭痛からだった。
(頭割れそう…)
ゆっくりとベッドから起き上がるといい匂いがすることに気がついた。
(?)
「おはよう♪明さん。」
「わあっ!」
声に驚いて顔をあげると、可愛い男の子が、にこにこしながらこっちを見ている。
「はい、お水。」
「ありが、とう。」
髪を撫でられて、ビクッとなる。
「寝癖、ついてるよ。可愛い♪」
急に昨日の事がフェードバックしてきて、慌てて布団をめくって確認した。
(ズボン、履いてる。夢?)
「ちゅっ♪」
いきなり唇を重ねられた。
「なっ!」
慌てて唇を庇う。
「ひどいなあ。あんなに愛し合ったのに。」
しょぼんとした顔にチクリと胸が痛む。
「ごめん。動揺して。」
「明さん、しゅん、明さんのこと好きになっちゃった。ずっと一緒にいたいなぁ。」
ベッドサイドに腰を下ろし、僕の腰に腕を回してくる。
「あの、僕、男ですし、あなたもですよね?」
「今更?えっちできるんだから、男でも女でもよくないかな?」
「そういう問題なのかな…。昨日会ったばかりでお互いのこと知らないし。」
しゅんは立ち上がると自分のバッグから、カードを持ってきた。
そのカードを目の前につき出して
「四宮舜、平成6年9月21日生まれ、住所は」
「違っ!ちょっと待って!昨日から展開が早すぎて全然ついていけないよ。そういう事じゃなくて。」
「体の相性良かったよ?他に問題ある?僕はヒモでもないし、素性もはっきりしてる。何も隠してないよ。何がダメ?」
「何がダメかと言われると…。」
「僕さ、コンタクトの明さんより、今みたいに眼鏡してる明さんが好き♪」
「え?」
「朝ごはん、できてるよ。食べよ?」
手を引かれて、ダイニングテーブルに座らされる。
いつもは使っていない椅子に舜が座っている。
いつもは開けていない窓が開いて、風が入ってきている。
「いただきます。」
しっかりと手を合わせてから、食べ始める姿はとてもかわいくて。
僕は今、何をしているんだろう、と押しかけ女房に見とれるのだった。
朝食を終えると、すぐに片付けを始めた舜。
まるで、前からうちに居たかのようにスムーズに動き回っている。
その一つ一つの動作が、かわいくてたまらない。
僕はすっかり舜の虜になっていた。
昨日会ったばかりなのに。
自分がこんなに惚れっぽいなんて、知らなかった。
しかも、相手は男の子。
初めての相手だから、その気になってるだけなのかな。
てきぱきと家事をする舜は時々、僕の方を見てにっこりと笑いかける。
その度に僕の心臓は跳び跳ねる。
なんて可愛いんだろう。
なんか悪いことをしているような背徳感にさいなまれるのは、舜の童顔のせいだろうか。
夢ではないのだろうか。
こんな可愛い子が僕を好きだなんて。
からかわれているのだろうか。
僕はまだ半信半疑でいた。
「どうしたの?ずっと見てくれてるね♪何かしてほしいの?」
「いや、別に。」
「見てくれて、嬉しいよ。」
胸に抱きつかれて、体温が一気に上がる。
心臓の音が聞こえそうだ。
「ちゅう、しよぉ。」
目を瞑った顔がかわいい。
そっと唇を重ねる。
すると、首の後ろに腕が回され、唇を奪われた。
見た目と違ってキスが激しすぎるそのギャップにも興奮してくる。
(あぁ、気持ちいい。なんだよ、このキス。溶ける。)
唇を離すと、とろんとした目で僕を見つめてきた。
僕はドキドキしながら、目を泳がせた。
「ねぇ、少しは舜のこと好き?」
「好きかも…。」
「じゃあ、しょぉ。」
「え?」
拒む間もなく、押し倒された。
「ちょっと止まって。」
覆い被さろうとする舜の肩を腕で支えた。
「ダメ?」
「ダメ、って言うか、なんでそんなに僕としたいの?」
「好きだから。明さんも好きって言ってくれたから、やりたくなった。」
「好きかも、ね。」
「昨日もしたし、歯止めが効かなくなるから、やめとかない?」
「どうして、歯止めをかけるの?明さん、彼女がいるの?」
「いないけど。」
「僕が男の子だから、嫌なの?」
「そ、そんなことは。」
むしろ、女の子よりかわいいと思ってたくらい。
「じゃあ、どうしてしたくないの?」
「君に溺れそうで。」
腕を振り払われて手首を押さえられたかと思うと。
首筋にキスの嵐が来た。
くすぐったい、なんとも言えない感覚に息が荒くなる。
舜は首筋にキスマークをつけてきた。
「それはやめて!仕事の時、気まずいから。」
「嫌だ。明さんはもう僕のものだよ。溺れさせる。誰にも渡さない。」
「ちょっと…。」
「僕は明さんのものだよ。ねぇ、明さんも僕に印をつけて。誰にもとられないように。」
僕はもう溺れていた。
舜の首を手繰り寄せ、つけたこともないキスマークを舜の真似をしてつけた。
「舜、痛くなかった?」
「大丈夫だよ。明さんがくれるどんな感覚も僕にとっては幸せだから。」
それから舜は僕の体の隅々まで舐めた。
僕は味わったことない快楽に体をくねらせた。
聞いたこともないような女みたいな自分の声に驚いた。
本当に気持ちいいと男でもあんな声がでちゃうんだ。
「明さん、舐めてほしいな。」
舜に言われるがままに、舜の滴っている愛液を舐めとる。
舜がしてくれたそれを思い出しながら、口に放馬って、舌を絡ませる。
「明さん、気持ちいいよ。」
舜の匂いでいっぱいのそれが美味しく感じる程に溺れていた。
もう、どうだっていい。
舜と気持ちよくなりたい。
舜をベッドに寝かせて、舜の蕾を舐める。
ひくひくと動くそこは僕を求めているようで、すごくえろい。
「明さん、入れて。」
ゆっくりと先を入れてみるとぬるっと入っていく。
なんて艶っぽいんだろう。
奥に奥に、押し付けていく。
かわいく漏れる舜の吐息が、僕を興奮させる。
出たり入ったりしているそこがたまらなく愛しい。
僕を受け入れてくれている。
二人の液で、卑猥な音が響いている。
涎を滴続けている舜のものを優しく擦りあげながら、出入りを繰り返す。
たまらない。
なんてかわいいんだろう。
僕は夢中で舜を味わった。
目を覚ますと、夕方になっていた。
「明さん、起きました?」
「うん。」
「僕、そろそろ帰りますね。」
「あ、うん。」
いつまでもいるような気がしていたから、寂しさが心をかすめる。
それを見透かされたように
「明さん、また来てもいい?」
ベッドから立ちあがり、側に行く。
「また、来るの?」
「嫌?」
「帰らずにそのままいるのかと思ってた。」
くすくす笑いながら
「僕だって仕事があるから、我慢してね♪」
と、言うと抱きついてきた。
自然と抱き締めていた。
このぬくもりをずっと感じていたい。
「明さん、夜ご飯はキッチンに置いてあるから、食べてね。」
「ありがとう。」
「じゃあ、またね。」
舜は今朝までの事が嘘のようにあっさり帰っていった。
僕の方が、もう彼から離れられなくなっていることに驚く。
1日しか一緒にいなかったのに、こんなに心引かれているなんて。
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