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9-3 初めての情事

「あの、ユーリスさんは」 「俺はいいよ。適当に処理しておくから」  苦笑は少し寂しげというか、痛々しい。  俺は流石にこれには賛成できない。俺ばかりなんて申し訳無い。  ユーリスさんの足元までずり下がった俺は、あまり考えずに彼のものに唇を寄せた。大きくて口に入りきらないだろうけれど、唇を寄せてキスをして、舌で愛撫した。 「マコト!」  慌てて止めようとするけれど俺も譲らない。俺は、ユーリスさんにも気持ちよくなってもらいたいんだ。  チュパチュパとおぼつかない手つきで竿を扱いて先端を唇で吸う。可能な限り口を開いて受け入れていくが、半分も入らないうちに喉の奥に支えて生理的な涙が浮かんだ。 「うっ、げほっ」 「無理をしなくても…」 「俺がしたいんです!」  俺がしたいんだ。俺がユーリスさんを気持ちよくしたいんだ。  そういう気持ちで頑張っていると、不意にユーリスさんの大きな手が自身の竿を握って上下した。 「あの!」 「いいから、唇でしてほしい」  端正な顔に汗が浮かび、色香に濡れる。俺はそれを見上げて、生唾を飲み込んだ。  なんて色っぽいんだろう。なんて綺麗なんだろう。  俺は促されるままにユーリスさんの先端に唇を寄せた。キスをして舌で舐めると、トロトロと溢れ出てくる。少し苦いような、しょっぱいような独特の味がする。美味しいとはいえないのに、夢中で先端を咥えて舌で愛撫した。 「くっ、はぁ」  熱く息を吐くユーリスさんの瞳が細くすがめられる。見上げていた俺の頭を撫でている。  励まされているような感じに、俺は頑張った。口が怠くなってほんの少し端が切れても構わなかった。ほんの少しスライドするように口を動かして行くと、筋が浮いてゴツゴツと唇に感じるようになる。 「マコト、出る…離れて…」  俺はその訴えを無視してより奥へと先端を含んだ。喉の奥にこすりつけるくらいの感じで咥えこむと、低く色っぽい声をこぼしたユーリスさんは果てた。  大量の精液が俺の喉に流れ込んでくる。一瞬吐き気を感じながらも、嫌悪ではない。単純に喉の奥をついて生理的に嘔吐いただけだ。  それでも飲み込んだ。あまり抵抗がないのが驚きだった。 「飲まなくてもよかったんだぞ」  困ったように瞳を細めて、ユーリスさんは笑っている。俺はそれに笑って返した。 「俺がしたかったんです」  本心だ。だから笑えるんだ。  彼の触れたところに嫌悪なんてない。嫌な気持ちが塗り替えられていく。それに安堵した。 「眠いのか?」  俺の目は半分くらい閉じていたんだろう。優しく問われ、髪を梳かれ、口づけられる。気持ちがいい、とても安心する。  俺はそのまま穏やかな気持ちで温かな腕に抱かれて眠った。

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