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10-2 俺って本当にクズじゃないのか!

「異世界人を保護した。登録をお願いしたい」  俺の隣で手を引いてくれていたユーリスさんが言うと、兎のお姉さんは小さく「まぁ!」と驚いていた。 「異世界人なんて、どのくらいぶりでしょう! さぁ、お掛け下さい。書類は…」  手元の機械のような物を操作している。俺の知っている知識の中ではこれはパソコンに分類される。ちょっと古い形のものだ。 「ごめんなさい、手際が悪くて。異世界から来られた方の登録なんて、久しぶりで」  愛想良くニコニコしながら言うお姉さんは、やがて俺の前に四角い粘土板のような物を出した。 「これにお名前と、生年月日と、年齢を書き込んで下さい」 「それだけでいいんですか?」  普通もっと色々書くんじゃないか? 住所とか職業とか…。 「異世界から来られた方はまだ色々と定まっていない事が多いので、それだけで大丈夫ですよ」 「あ…」  そうだ、俺って住む場所も仕事も決まってない。  粘土板に付属してきたペンを手に俺は書類に書き込んでいく。  俺は日本語書いてるつもりなのに、実際に書いているのはよく分からないこの世界の言語だ。こんな時にはとても役立つ自動変換機能だと思う。  月白誠、22歳、9月14日生まれ。 「ツキシロマコト…マコトさんですね!」 「はい」 「マコトさん、ようこそ!」  満面の笑みで言われ、俺は嬉しくて笑う。その隣で、ユーリスさんも頷いていた。 「マコトさんの保護見届け人は、そちらの方でよろしいのかしら?」  保護見届け人? 俺はユーリスさんを見上げる。  俺としてはその保護見届け人が何かを説明してほしかったんだけど、ユーリスさんはペンを手にして黙って書類に書き込んでいった。 「保護者はユーリス・フェン・フィアンサーユさんですね」 「え? 保護者?」  俺の世界では保護者というと父母とかになるけれど…同じ意味か?  俺の動揺をよそに、お姉さんが本体の機械を操作すると粘土板の文字が光って消えていく。よく見ればこの粘土板にはコードがついていて、本体に繋がっていた。  これ、この世界のタブレット端末かな…。  最新なんだか古めかしいのか、よく分からない世界だ。 「まずは登録が終わりました。次に、ステータスの登録をいたします。その魔道具の上に手を置いてください」 「これ?」  手の形に印のついた台のような物がある。俺はその上に手を置いた。すると青白い光の粒子が俺の手を滑るように包んで、再び機械の中に吸い込まれていく。 「ステータスは……」  俺の目の前の粘土板に、ステータスの表示が現れる。その数値に、俺は絶望するしかなかった。 ツキシロマコト 22歳 Lv・5 HP 368 攻撃力 90 防御力 128 「…これって、強いの? 弱いの?」 「この世界の平均的な人族の数値で言うと、5歳児くらいだな」 「…俺って、最弱?」  俺の疑問に答えてくれる人はいなかった。 「だっ、大丈夫! 貴方の保護者さんは高ランクの冒険者で竜人族ですもの、一生養ってくださいますわよ!」  お姉さん、フォローになってないよ…。  まぁ、がっかりではあるけれど、ある程度想定済みというか。そんなに俺、期待してないし!

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