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11-2 スキル「安産」は俺にとって呪いでしかない

 シスターさんは明らかにオロオロし始める。  つまり俺って、もの凄く役立たずなわけだ。分かってる、元の世界でだって何の取り柄もない平凡な人間だった。全てにおいて真ん中辺りだ。分かっているさ、こんな結果。  …畜生、涙が出る。 「あの、お気を落とさずに! まだ何か…何かありますから!」 「あの、平気です。スキルなくても地道に地味に生きていければ」 「そんな! あの、待って下さい。他にも……あ!」  シスターさんの目が僅かに輝く。そして腰を浮かせていた俺をもう一度座らせて、水晶に手を置くように促した。 「普段はあまり調べないのですが、特殊スキルの項目があるのです。それを試してみましょう!」 「特殊スキルって…」  俺にそんな一発逆転なものってあると思うのか? 「特殊スキルは持っている事があまりに稀で、調べるだけ無駄って感じの項目です」 「そんなの俺には…」 「異世界から渡ってこられた方に出現する可能性が高いですし、特化スキルですので他のスキルにまったく掠りもしなかった方が持っている可能性があります! 諦めてはいけません!」  お姉さん、これで俺がすっからかんなら俺立ち直れないんだけどな。  とにかくやることになって、俺もこうなればと思って付き合う。  手を乗せると、さっきまでと違う光が俺を包んだ。金色の光が俺を包んで水晶の中に吸い込まれていく。ガラス板のモニターに、また文字が流れた。  変化、悪魔召喚、空間転移………………  数少ない文字が流れていくが、どれも引っかからない。諦めて溜息をついた俺は、最後の最後で何かが光った。 『スキル安産 Lv100」 「安産スキル?」  って、なに…。  俺はもの凄く疑問だ。ついでに悪い予感しかない。これ、女の人なら喜ばしいスキルなんじゃないのか? でも男の俺じゃ……この世界男も子供産めるんだ! 「素晴らしいですわ!!」  シスターさんが叫ぶような声で言い、頬を紅潮させている。このテンションの落差に俺は驚き思わずガタンと椅子ごと下がった。 「スキル安産なんて、初めて見ました! 貴方は多くの絶滅危惧種族の救世主になる方ですわ!」 「え? あの…」 「詳しく付属スキルを見てみましょう!」  お姉さんがガラス板に触れると、そこからズラズラ下に出てきた。どれも見慣れないものだ。 「あの、まず説明してください。この安産スキルって何ですか?」 「あぁ、そうですね」  興奮のあまり忘れていた。そんな様子でシスターさんは笑った。

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