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11-1 スキル「安産」は俺にとって呪いでしかない

 ユーリスさんに連れられてきたのは、海外の教会って感じの荘厳な建物だった。これはこれで尻込みだ。入っていいのだろうかという感じだ。  それでも手を引かれて行くと、中は案外人が多い。神の像の前で祈り、そのままの足で椅子に座って雑談している人も多い。案外気軽な寄り合い所のような感じなのかもしれない。  連れられて奥へ行くと、個室がいくつも並ぶ場所にくる。扉の前には明らかにシスターという出で立ちの女の人達がいて、ニコニコと訪れる人を招いていた。 「こんにちは! スキルのチェックですか?」 「え? あの…」 「頼む。彼は異世界人でさっき住民登録を済ませたばかりなんだ」 「まぁ!」  まだ二十代っぽい女の人が驚いた顔をしている。そしてとてもにこやかに俺を部屋の中へと招いてくれた。  ここは俺一人らしく、ユーリスさんは外にいると言ってくれた。  オドオドしながら中に入ると、薄明るい部屋に人の頭くらいありそうな水晶が一つ、その上に透明なガラス板のような物があった。 「まずはお掛け下さい。心配しなくても大丈夫ですよ。リラックスしてください」 「あっ、はい」  俺の緊張を見抜いたシスターさんは柔らかく笑っている。俺もそれに笑い返して、水晶の前にある椅子に腰を下ろした。 「まずはこの水晶に手を触れてください」 「えっと…こう?」  かざしてくださいじゃなくて、触れてくださいだ。  俺は躊躇いながらも水晶の上に手を置いた。 「はい、それで大丈夫ですよ。まずは戦士スキルをチェックしますね」  俺の目の前に降りて来たガラス板の中を、もの凄い勢いで文字が通り過ぎていく。 剣士、魔法剣士、槍使い、弓使い、メイス、ペガサスナイト、ドラゴンスレイヤー、暗殺者、斧戦士…………。 「あれ?」  画面から全ての文字が消えていく。何も残らないけれど…。 「どうやら、戦士スキルはお持ちではないようですね」 「ははは…」  ですよね。だって、ステータスへっぽこ過ぎるし。 「次は魔道スキルを見てみます」  さっきと同じように文字が流れていく。  炎魔道士、水魔道士、風魔道士、土魔道士、光魔道士、闇魔道士、召喚師、支援魔道士…。 「あ………」  やっぱり何も残らない。俺には戦闘に役立つスキルはないらしい。 「まだ大丈夫です! 冒険者ではなくても手に職はつくんですよ。次は職業スキルを見てみましょう」  薬剤師、アイテム生成、獣使い、防具生成、武器生成、導き…………。 「………」  以下同文である。

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