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15-2 俺の大切な人はただ一人の黒龍だと今更認識した

「愛している、マコト」  深く低く、俺の耳元に囁きかけられた言葉は過分に苦しさがある。でも俺の心臓も痛くなった。止まんなかっただけ偉い。目を見開いたまま、俺はユーリスさんを見た。 「愛している」 「でも…」  じゃあ、なんで拒まれたんだ。どうしてあの時、受け入れてくれなかったんだ。  でも、俺も悪いんだ。何かを言おうとしていたユーリスさんを、俺も拒んだんだ。 「ちゃんと言えば良かった。卑怯な手で君を手懐け、側に置こうとした俺が悪い。何も分からず不安な君を押し切って、ずるずると側に置いた俺が悪かった。気持ちも伝えずにいた俺の間違いだった。すまない、許してくれ」 「ユーリスさん」 「愛している、マコト。君の事が好きだから、側にいて欲しかった。手放せなかったのは俺なんだ。理由をつけて旅を長引かせたのは、離れる理由を与えたくなかったからなんだ」  ジワジワと染みこんでいく言葉が、気持ちをくれる。俺の気持ちは、与えてくれるものでパンパンに膨れていく。  どうしよう、嬉しすぎる。どうしよう、こんなに好きで。俺もう、今死んでもいい。 「ちゃんと話をしたい。お願いだからもう一度だけ、俺にチャンスをくれないか。ありのままを伝えるから」 「帰っても、いいんですか?」 「勿論だ! あの屋敷を、君の家にしてもらいたい。君が受け入れてくれるまで、何度でも口説くから。気持ちを伝え続けるから」  もう十分、伝わっている。これ以上ないってくらい伝わっている。これ以上は胸が本当に張り裂けそうだ。  嬉しさと幸せに、俺は笑った。笑いながら涙腺決壊した。情けないな、俺は。  そんな様子を少し離れて、マーサさんとモリスンさんが見ていた。とても優しい笑顔を浮かべて。  俺を離してくれたユーリスさんの腕から離れて、俺は二人の元に歩み寄る。そして、温かく迎えてくれた二人の胸にも飛び込んだ。 「有り難うございます、マーサさん、モリスンさん。俺、本当に二人に助けられて…息子だって言ってもらえて、幸せでした」 「本当に、息子いないはずなのに嫁に出す気持ちよ。マコト、幸せになりなさいね。不幸な顔なんてしちゃだめよ。辛かったらいつでも、ここに帰ってきなさい。ここは貴方のお家よ」 「マーサさん!」  俺は抱きついて何度も頷いた。俺はこの世界で、この場所で両親を得たような気持ちになった。同じ気持ちを二人も感じていてくれると嬉しい。  俺の隣に並んだユーリスさんは、モリスンさんに深々と頭を下げている。 「マコトを助けていただいた事、感謝いたします」 「いえ、王子。私たちも幸せな時間を過ごせました。だからこそ、彼の幸せを心から願います。大切になさってください」 「はい、必ず」  強い目でそう言ったユーリスさんが、俺の肩を引き寄せる。俺は二人にまた来る事を約束して、大事な場所を離れた。

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