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第8話
「なあ。
……好きに、していいか?」
颯人の眼鏡を外すと、涙で真っ赤になった瞳が現れた。
こくんとひとつうなずくと、瞬きした目から滴がまたぽろりと落ちる。
「ああっ」
颯人の腰を掴み、下から打ち付けると、背中がしなり歓喜の声を漏らす。
「俺にこうされるの、待ってたんだろ?」
「あっ、かな、かな、たっ」
抱きついてきた颯人の耳を囓ると、さらに俺を締め付けた。
「……俺が、好きだって云ったらどうする?」
「えっ、あっ、ああっ」
腰を打ち付ける度に、颯人の身体が揺れる。
言葉もままならないほど、恍惚の表情で。
「どうするんだって聞いてるんだよ」
「あっ、ああっ、僕も、かな、っ、奏太が、すっ、好きっ!」
颯人が達すると同時に俺も達する。
荒い息でまだつながったまま唇を重ねた。
離れると、そっと颯人のあたまを撫でて抱きしめる。
「俺は颯人が好きだ。
……やっと、気がついた」
俺に抱き付いた颯人の口からは、小さく嗚咽が漏れていた。
【終】
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