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成人式2
酒を勧めすぎたらしく、透は酔い潰れてしまった。
彰広は眠る透を抱き上げて、ベッドへ運んだ。
透の幼い寝顔に彰広の唇が緩む。
成人式帰りの透はスーツを着ていた。
皺になってはいけないだろうと、彰広はスーツのズボンを脱がせた。
透の白い内腿に目がいく。
───くそっ!透は幼馴染だ。変な気を起こすんじゃない。
彰広は心の中で自分を叱責しつつ、透のカッターシャツのボタンを外していく。
露わにしていく透の肌に、体の奥に熱が灯り始める。
もうやめておけ。
皺になろうが構わないじゃないか。
放っておけ。
これ以上、透に触るのはやめろ。
頭では分かっているのに、彰広は透の衣服を剥いでいくのをやめられない。
ボクサーパンツ一枚にして、じっくりと視感する。
見慣れた、男の裸だ。
女のように柔らかくもなく、胸もない。
それなのに、彰広の雄はどうしようもなく高まってしまう。
つ……と、透の素肌に手のひらを這わせてみた。少し汗ばんだ肌はしっとりとして、熱を持っていた。
彰広は透の首筋に顔を埋めて、そっと口づけ、舐めあげる。
指先で胸の尖りをカリッとひっかき、鎖骨を甘噛みする。
眠る透の体が、ヒクリと反応した。
乳首を舐め、下着の上から透の男の象徴をゆるく揉みしだく。
「……は……ぁ」
眠る透の唇から甘い吐息が漏れる。
透の下肢はゆるく反応していた。
彰広は透の唇に触れるか触れないか、すれすれの距離で囁く。
「透……起きろ」
言葉とは裏腹に、透を起こさないように、彰広の声はひどく静かだ。
目を覚ませば、抱いてしまおうと思った。
このまま離れていくなら、幼馴染などという邪魔な関係など壊してしまえばいい。
だが、透の眠りは深く、目覚める気配はない。彰広は透を抱きしめた。
「……透」
自分よりも一回り小さな透の体を抱きしめる。透の体温や匂い、肌の感触を覚えるように。
「眠っていろ。透……」
頬をすり寄せ、小さく呟く。透を起こさないように。起きていたとしても聞き取れないくらいの、吐息のように小さな囁きだった。
───好きなんだ……お前が……透。
翌朝、透が目覚めるとスーツはきちんと掛けられ、彰広のスウェットを着ていた。彰広はソファで寝ていた。
「お前が着替えさせてくれたのか?」
「ああ。お前、酒弱いのな」
「ごめん。ありがとうな。久しぶりにお前と会ったから気がゆるんだみたいだ」
透は照れ笑いを彰広に向け、彰広は少し切なげに目を細めた。
それから二人は近所のファーストフード店でモーニングを食べ、駅前で別れた。
「ありがとうな。彰広、またな」
「ああ……また」
───それから、彰広が再び透に会うのは、七年後になる。
end
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