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第26話
「由斗…智輝のことまだ好きなの?…」
「好きだよ」
「だったら…由斗が支えてあげたらいいのに…由斗なら出来るよ」
「でもね。智輝が欲しいのは俺じゃない。それに俺のこれは恋情とは違う。離れてみて智輝を見つめてきて…恋情からただの情に変わった。狂おしいほど智輝が欲しいだとか俺だけのものにしたいだとかそういう感情はなくなった。早く智輝が智輝だけを見詰めてくれるお互い思い合える唯一の人と出会い幸せになって欲しい…そう思ってる」
強い眼差しに捉えられて俺は動けないでいた。
きっと思いを昇華し本当に智輝の幸せを願ってる…でも…由斗には出来なかった…だったら誰が…
俺もそんなに強くはない…だから俺が智輝の唯一になるのは無理だ…
智輝にはきっとお似合いの誰かがいる…そう…
亜咲斗みたいな…そんな強い人…
「ねぇねぇ。路」
さっきまでの真面目な雰囲気とは一転いつものへらへらした由斗に戻った彼が問う
「なぁに?」
「深雪知ってる?」
知ってる。深雪も智輝の恋人。でも他の人とは毛色が違う。
他の人はしっかりしてて己をしっかり持ってる人、何かしら結果を出している人ばかり。
更紗は下半身こそ緩いがやることは求められていること以上の結果を出す人だし賢斗は一年にして先輩を差し置きいつも代表に選ばれるようなスプリンター。京は弓道の師範クラスの腕前を持ち誰からも頼られる男。律はやり手実業家だし空雅はあの見た目とは違い剣道の有段者で芯がしっかりしてる。亜咲斗は常に成績は全国トップクラス。生徒会役員を勤め誰からも尊敬されるほどの心根を持ったやつ。
ただ深雪だけは顔以外は全て普通の人。
顔はこの世に舞い降りた天使そのもの。母親譲りの白い肌に金髪、碧眼で腰まで伸びる髪を1つに結い淑やかに歩く。
「変えられるのはね普通の人だと俺は思う。だから深雪か…路…お前だと思う」
「俺は…支えてやることは出来ない…諭すことも出来ない…唯一にはなれない」
「なら…智輝のこと無理なら俺の恋人になる?俺はお前が欲しい」
「は?何のじょ…っ」
次の瞬間俺は由斗に押し倒されていた
「路…俺のになって?」
「何…どうしたの?らしくない」
「えぇ!!??俺ずっと口説いてきたのに伝わってないの?」
「はぁ?」
「智輝と別れて…相当落ち込んでるお前見て…泣き腫らしたお前の顔を見てどうしようもなくお前が欲しくなった…智輝を…すべてを包めるお前を始めはただ慰めるだけのつもりだったのに…別れてもただ一途に智輝を思うお前に俺は引かれた。お前には笑っていて欲しいと思う。俺ならそれはしてあげられるから…智輝じゃなく俺を選んで?」
「そんなの…」
「信じられないよね?」
「…」
コクりと無言で頷いた
「じゃあ、これから頑張る…」
「…」
真剣な眼差しに引き寄せられるように由斗に抱きつきキスをした
さっきの智輝の艶やかしい姿を忘れたい…溺れたい…
「路?」
「由斗…智輝を…忘れさせて…」
「本当に…いいの?路…」
「抱いて…由斗…」
由斗は俺が満足するまで抱いてくれた。
凄く気持ち良くてずっとこの快楽に溺れていたい…
「路。無理させちゃったね。大丈夫?」
「気持ち良かった…」
「体綺麗にするね」
由斗に横抱きにされ部屋の露天風呂に入れてもらう。丁寧に壊れ物を扱うように優しく綺麗にしてくれる由斗に身を委ねた
「路。また俺が欲しくなったらいつでもあげるね。だから…側にいさせてね」
「うん。由斗」
「ん?」
「ありがと」
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